Sunday, November 27, 2011

移民の子どもの年齢と高校中途退学率

海外への移住/移民を考えるとき、子どもの言語能力について気になるのは親としては当然のこと。先日、子どもの年齢と高校中途退学率についての興味深い報告を読んだのでまとめておきたい。子どもの言語能力やバイリンガリズムと大いに関係のあるトピックだと思う。


2006年のカナダ統計局による統計調査によると、移民の子どものうち9歳以降に来た子どもたちの高校退学率が高くなっているらしい。


カナダの高校中途退学率を男女で平均すると、
10.3%(M)
6.6%(F)
となっている。


9歳までにカナダに来た子どもたちでは、
15%(M)
11%(F)
と平均以上なのが、


カナダに来た年と中途退学率の関係を見ると、
15歳でカナダに来た・・・21.6%(男女)
17歳でカナダに来た・・・24.4%(男女)
と年齢があがるほど高くなっているのがわかる。


専門家によると、移民の子どもの高校中途退学率は、出身国とは関係ないが、カナダに来た年齢に大きな相関関係があるという。言語をはじめとする認知能力が頭打ちする9歳という年齢がターニングポイントで、それまでにカナダに来た子どもとそれ以降に来た子では言語能力、学力、適応能力に大きな差が出てくると見られている。

Tuesday, November 22, 2011

絵を描くことについて




私の疑問のひとつは、エリックの絵のこと。お友達や同じ年齢の子どもの絵を見ると、車の絵であったり、人の絵であったり、木や花、家や猫、ボールなどの絵を他の人が見てもわかるように描いている。


しかし、エリックはそんな絵を描かない。どんな絵を描いているかというと、写真のような抽象画なのだ。クレヨンや色鉛筆で描くときには色を重ねたり、色を順番に塗ったりするだけで、形というものがない。


たしか、「4歳までにできること」のなかに、「3つのパーツで人の絵を描く」というのがあったと思う。これってどうなんだろうか。


ただ、エリックは水彩やアクリルなんかが大好きで、とにかく色を重ねたり混ぜたりするのが楽しいらしい。私が放っておいてもひとり、楽しみながら絵を描いてはいる。


エリックのデイケアに1年ほどまえにボランティアで来ていた「建築学専攻」の大学生アリソンがいて、彼女が私に「エリックは絵が上手。気がついた?」と言ったので?と思ったことがある。そんなこと思ってもみなかったし、だいたい、グルグルまるを紙が破れるまで描いているだけで、絵らしい絵など描いていない。でも、そのころはまだ3歳くらいだったから、形になった絵を描かなくても私も何も思わなかった。でも、4歳半にもなると、ちょっと不思議に思い始めた。いえいえ、心配はしていないのだけれど、どうしてこうなんだろう、と不思議なのである。

ボンジュール、ねずみ・・・


最近、よく歌ってる歌のひとつはbonjourで始まる。聞いていたら、どうも「bonjour ねずみ bonjour, bonjour ねずみbonjour・・・」とやっている。おかしいな、と思っていたのだが、本人に聞くと、「フランス語の歌」ということで、なんで「ねずみ」なのかが分からない。


しばらくして、夫もそれを聞いて?となっていたが、「もしかして、それ、bonjour mes amisのことじゃないの?」と聞いたのだけれど、エリックは断固としてそれが「ねずみ」だと言い張る。とってもこの歌が好きらしく、このシンプルな歌をいつも歌っているのだが、「ねずみ」にいつも笑ってしまう・・・。


ところで、エリックの友達は多くが2言語で育てられているので、それが当然と思っている節があって、「ばあばとじいじは日本語しか話さない」というと、「なんで? みんな2つのことばをはなすんでしょ」と言ったりしている。


デイケアで私がエリックに日本語を話していると、お友達はよくWhat language are you speaking?と聞いてくる。私が「日本語よ。知ってる?」と言うと、誰も知らない。そうすると、エリックがしゃしゃり出てきて、I can speak Japaneseとちょっと誇らしげに言ったりする。それなら、もうちょっとがんばって日本語で会話してほしいんだけどね・・・。

Wednesday, November 16, 2011

フルー・ショットをどうするか

11月。この時期になるとflu shot(インフルエンザ予防接種)をどうするか、という問題に直面する。avian flu (H1N1 flu) の猛威が警告されていた2009年には、私と夫は長い議論と時間の末、苦渋に満ちた決断をした(夫と私は受けなかった)。現実は、あれだけ専門家や北米の公共保健機関などの恐ろしくリアルな警告に反して、インフルエンザはほとんど蔓延しなかった。それを、「それはあの広告活動によって大多数がフルー・ショットを受けた結果」と見るか、不必要なハイプだったと見るかは人によって大きく違ってくる。


昨日、エリックのキンダーガーデンで聞いてみると、「学校側はフルー・ショットを各生徒が受けるよう義務づけてはいないが、大いに推奨している」という答えが返ってきた。トロントではキンダーガーデンといえども市の教育委員会のもとに設置されていることを考えれば、いささかこの答えは驚きだった。


日本のように学校でインフルエンザの集団予防接種をする、というのはカナダでは考えられない。これは親の(あるいは個人の)選択の自由が非常に重要とされているからなのだろう。加えて、市民のインフルエンザの予防接種に対する認識の違いがある。


インフルエンザは毎年、少しずつ違ったstrain(種類)が出回るわけで、ワクチンというのは専門家が、今年はこういうのが勢いを増すだろう、という推測をもとに薬品会社によって培養され大量生産される。なので、効果は完璧ではなく、これを打っておけばフルーにかからない、というわけではない。


おまけに、副作用も随所で指摘されている。頭痛や喉の痛み、疲労感などのほか、とりわけアレルギー体質の子どもや高齢者に対する副作用は、命にかかわるものもある。ワクチンは一様でも、それを受ける人の体質は多様で、アレルギーを持つ人、呼吸器官の弱い人などもいるので、それを考慮することなく、日本のように一斉注射、というのは今考えると本当に恐ろしい(あの当時は私、何も考えてなかったけれど)。


予防接種の問題は、結局のところパブリック・ヘルス(公共健康)と個人の選択の自由という権利との問題ということになる。トロント市保健局では、市民に無料で予防接種を提供している。もちろん、パブリック・ヘルス(公共健康)に責任あるお役所だから、みんなに受けてもらった方がいいのである。しかし、一方、副作用の可能性も指摘されている子どもに対する予防接種をどうするか、という選択は親の手にあるべきものであり(自由な選択の権利)、そのあたりの対立ともいえて個人的に興味深い問題だと思っている。


今年は大してインフルエンザの脅威も予測されていないし、エリックには予防接種をしないことにした。そのかわり、

・栄養のバランスのとれた食事をすること
・睡眠をたっぷりとること
・手をひんぱんに洗い(1日20回と言われて驚いたが、そのくらいしないとダメなのだろうか?)、うがいをすること
・ビタミンC、Dのサプリメントをとること

を習慣づけ、ちょっとくらいの風邪なら免疫をつけるための訓練と思っておこう。

Thursday, November 10, 2011

最近の様子(4歳5ヶ月)

最近、気付いた変化のひとつは、エリックの質問の内容が高度になってきていること。以前は何でもかんでも「なんで?」だったのに、今は「前はこのドアは開かなかったのに、今日開くのはどうして?」といった、より具体的な質問をしている。私と夫の話もよーく聞いているようで、まったく別の機会に、何の脈絡もなくWhy some people don’t vote?とか聞く。


英語はますます洗練されてきて、ライムを使って文章を作ったり、マザーグースを暗誦したりしている。


英語がどんどん上達する一方で、日本語は非常にお粗末な状況になっているのが現実。これには私も焦っている。私は継続して日本語を使っているのだけれど、ときどき試験的に「噛むって、わかるよね?」と言うと、分かってないこともあることが判明。つまり、私の話の半分ほどは分からないまま、推測しながら聞いている? おお、これは大変!


・主要言語は引き続き英語

・私とエリックの会話は私(日本語)エリック(英語+少しの日本語)で、私の言う日本語を完全に理解しているかどうかは、ちょっと不安になってきた(私と話すときは英語90%、日本語10%くらい。日本語の比率が断然減っている!)

・英語の語彙が飛躍的に増え、表現が洗練されてきた

・英語のrymeを意識しながら文章を作って、笑うのが好き

・コードミクシングが頻繁に見られる。英語で言ったことを日本語で言い直すケース、英語の文章のなかに日本語の単語を使うケースが多い

・英語は過去形、単数・複数形、代名詞、所有名詞などをおよそ正しく使っている。引き続き、比較級の使い方、If構文の時制に間違いが見られる

・10までの数字を読める。書く練習もしている(8がいちばん難しいらしい)

・10から20までの数え方を練習中(英語、日本語)

・「絵を描こう!」と張り切るのだが、いまだに絵らしい絵を描かない、というか形のないものばかり描いている

・引き続き水泳レッスン、ジム(体操)を習っている。水泳ではヌードルを使って浮かぶのが大好き

・グラニー、デダ、じいじ、ばあば、アーンティー、アンクル、いとこ、という概念が少しわかってきた(自分とどうつながっているか)

・「季節」「曜日」「週末」という概念が少しわかってきた

・Clock change(つい最近、夏時間から標準時間へ変更になった)の概念がよくわからくて、何度も何度もしつこく同じ質問をしている

・キライだったピザが食べられるように。好きなものは引き続き「おすし(カリフォルニア・ロール)とアボカド・ロール」!」カリーはやっぱりダメらしい

・デイケアとキンダーガーデンが大好き。お友達と遊ぶのが大好き

おはなし絵本1 千葉幹夫/編著  成美堂出版

よみきかせおはなし絵本〈1〉むかしばなし・名作20画像はAmazon.co.jp


海外暮らしなので、日本語の本はたくさんあるわけじゃない。だから、日本の親戚にもらったこの「おはなし絵本」は重宝する、と思っていた。日本とヨーロッパの昔話を集めたこの本は、「赤ずきんちゃん」や「さるとかに」、「おおかみと7ひきのこやぎ」「花さかじいさん」「かちかちやま」など20ものおはなしがそれぞれ違うイラストレーターの絵で描かれている。CDもついている。


でも、エリック、この本を最近まったく読みたがらない。「なんで?」と聞くと、「だって、最後がかわいそうな話ばかりだから」。お話の最後は、おおかみが井戸に落ちて沈んだり、サルが殺されたり、たぬきがおぼれたり・・・、確かにそうだわね・・・。

私も実は数回読んだあとで、「ちょっとこれは子どもには読みたくないなあ」と感じ始めた。勧善懲悪は昔話の基本だというのはわかるけれど、話が驚くほど大ざっぱなので、懲悪の部分だけが際立ってみえるのは確か。

文章も工夫がなく、凡庸で豊かさに欠けるし、もう、この際ついでに言わせてもらうと、絵(というか子どもだましのイラスト)もいかにもという感じで質が悪くて想像力に欠けるばかりか、私が見ても何だか妙に怖いものもある(したきりすずめ)。一冊で20ストーリーとは得した気分! と思ったけれど、子どもに拒否され、私も読んであげようとは思えない本である。

Monday, November 7, 2011

Doctor De Soto by William Steig

Doctor De Soto


偶然、本屋さんで見つけて読んだAmazing Boneのストーリーラインには奇妙な感じを覚えた。とっても深い、裏の意味があるんじゃないか、と。でも、文章がすごくいい。おまけに絵もすばらしい。とりわけ色使いがとってもうまい。

そんなきっかけから手に取るようになったスタイグの本のうち、私はSylvester and the Maggic Pebbleが好きだけれど、エリックはDoctor De Sotoが何よりのお気に入り。ストーリーは腕利きのねずみの歯医者さん、Dr. De Sotoは小さな動物はもとより、大きな動物の場合は口の中に入って虫歯を治してくれるのだが、猫や危険な動物だけはお断り。

しかし、ある日、身なりのよい狐が痛みをこらえられず泣いている姿をみて、アシスタントの妻いわくLet’s risk itといって診てあげることにする。しかし、狐はわずかに葛藤しながらも、おいしそうなねずみのドクターを食べたくて仕方ない。しかし、麻酔をかけられて寝ていた狐の寝言How I love them raw… with just a pinch of salt, and a… dry…white wine.(生で食べるとおいしいだろうな、パッパッと塩を振りかけて、白ワインと一緒にね)を聞いて、夫婦で夜、話し合いをする。翌日には、きれいに治った狐の歯に接着剤をつけて「しばらく口は開きませんが、もうこれで虫歯になることはありませんからね!」といって狐を帰す。最後の文章、Doctor De Soto and his assistant had outfoxed the fox. They kissed each other and took the rest of the day offが最高にすばらしい。

このねずみの歯医者さんのキャラクターが何とも言えずいいのだ。食べられる危険があっても、一度治療を始めたら途中やめしないというプロフェッショナリズムに貫かれ、妻と協同してピンチを切り抜ける賢さを併せ持っている。エリックによると、ねずみや狐の表情が彼らの気持ちを非常によく表現していて、見ていて飽きないのだとか。さらに、狐がおいしい食事にありつける期待感からドクター・デソトが口に入っているときに一瞬口を閉じてJust a joke! といったのに対してBe seriousと叱責するところなど、ストーリーに豊かさとユーモアを加味している。こうした話し言葉をエリックは喜んでいて、ドクター・デソトが言っているように真似して使ったりもしている。

ストーリーはどちらかというとシンプルとはいえない。しかし、「ドクターは食べられるのだろうか」と思ってはらはらしながら読み進めていくうちに、プロットの複雑さを感じさせないほどすらりと読めてしまう。さらに、登場人物の表情や歯医者道具のしかけなど、細かいイラスト描写を見ているだけでも楽しめる。小さなねずみが大きな狐をぎゃふんと言わせるストーリーはあっぱれだし、紳士風に描かれている狐も、最後はすごすごと帰っていくシーンも気持ちがいい。エリックは自分で絵を見ながら笑っていることもある(子どもがひとりで本を開いている姿って、何て感動的なんだろう!)。動物が主人公というのが、エリックには何より好きみたいだし、大人も楽しめる楽しい本だと思う。



Wednesday, November 2, 2011

コラム「バイリンガルで育てる」: 「これではいかん!」

・・・と最近つとに思うのである。もちろん、エリックの日本語のこと。

昨日、久しぶりに、わらべきみかの「あいうえお」絵本をエリックと見ていたのだが、絵を見てエリックの口から出てくるのはほとんど英語。「煙」も「ちょうちょ」も「れいぞうこ」も、「月」や「亀」ですらすっかり忘れているようで、出てくるのは英語ばかり。これには焦った。


最近、本当に英語ばかりなのだ。日本語が明らかに減っている。デイケアもキンダーガーデンでも英語のお友達ばかりだし、日本語のお友達は日本に帰ってしまって、ひとりもいない・・・。


少しは使っている日本語も簡単なものばかり。「いいよ」とか「赤いやつ?」とか短い文章だけ。なおかつ、英語の文章中にミクシングする日本語名詞に複数形のSをつけたり(ねこs)、


正直言って、私も最近なまけている。アルファベットや数字をぼつぼつと教えたりしているけれど、日本語は後回し。おまけに、最近は私まで英語を使ってしまうこともあったりする。私たちの会話は相変わらず、私(日本語)E(英語)。向こうが始終英語で話しているのにつられて、Why not? と反応したり、Oh, OKとかGood job!といって褒めたり、Don’t drop it!ととっさに出てきたり。しつけの面では特に英語の方がやりやすく感じていることもあって、No hitting. We don’t torelate such behaviour.なんて思わず言ったりする。エリックとお友達と遊んでいるときには、お友達にわかるように英語を使うし、そんなこんなしていると、私の方までがズルズルと英語の世界に取り込まれていくような気がして・・・かなり怖い。


もうひとつ気付いたのが、日本語でより英語の方が深い会話ができること。日本語より英語の語彙や表現の方が豊富なエリックにとっては、日本語で話す私との会話のレベルはなかなか上がらない。一方で、エリックと夫の会話は日々、レベルアップしていて抽象的なこと(神や宗教、オゾン層の破壊がもたらす影響とか・・・)もひょいひょいトピックにあがっている。


「この年ならわかってくれるかも」と思って、「なぜマミイがエリックに日本語を話してほしいのか」を話したりすることもある。「だから、エリちゃんも少しでも日本語を話すように心がけてみてね」と言うと、ふんふん、とよく聞いて、そのときは「わかったよ、マミイ」と答える割には、もう2分後には英語になっている・・・。


バイリンガルで育てるには、親のコミットメントが何よりも必要・・・って、私もエリックがまだベイビーのときに書いた記憶がある。あのときは頭で理解していただけなのだ。なんとおめでたかった私・・・。「マミイは英語はわからない」と断固たる態度を取るより、子どもに嘘をつかない、という方を選んだ私・・・。あの選択は間違っていたのだろうか、とふと思うこともある。わかってます、わかってますって。でも、ほんと、大変だこと。このままの状況が続けば、passive bilingualになるのは目に見えている。


ここであきらめるつもりは毛頭ない。このあたりでもう一度しっかり日本語を教える私のスタンスとコミットメントを確認する必要がある、と思う今日このごろ。

Tuesday, November 1, 2011

ハロウィンが終わった!




ハロウィーンって、本当に北米では一大イベントなのね。子どもたち、大人たちのみならず、近所の犬たちもコスチュームをつけている様子を見て、軽いカルチャーショックを感じた私。ハロウィーンの月曜日には、デイケアとキンダーガーデンで「ハロウィーン・パレード」があるというお知らせももらった。学校ぐるみで取り組むのね。

エリックはよくわかってるんだか、わかってないんだか知らないけれど、「ハロウィーン」を楽しみに待っていた。1ヶ月前くらいに、今年は「みつばち」になるのだと決めた。虫が好きなエリックらしく、「みつばち」は確かに似合っている。そういえば、あった、あった、黄色と茶色の太目のストライプシャツが! あれを着せて羽でもつければBeeに見えるに違いない!


着ぐるみのようなコスチュームは避けたい。1年しか着れないし、宗教イベントのコマーシャライゼーションに加担するつもりは毛頭ない。なので、ローバジェットで行くのが我が家流。去年は夫の思いつきで、「画家」になったエリック。夫の白いシャツを着せて私の緑のベレーを被って、ヒゲを描いて絵筆を持たせれば、ほら、立派な画家! 


夫はやはり自分の文化なので張り切ってハロウィーンをエリックに教えていた。大きなかぼちゃを買ってきてジャックオランタンをいっしょに作ったり、ハロウィーンの本を読んであげたり。


前日、エリックのお友達の女の子は大半が「プリンセス」になるのだと教えてくれた。エリックのよき「バグ・フレンド(虫ともだち)」エレノアだけが「テントウムシ」というのが笑える。


エリックはいつもより早く起きてBzzzと言いながら、黄色いみつばちの帽子を被って家を出て行った。もうすっかりなりきっている。


デイケアでは、去年と同様、同ビル5階にあるESL英語クラスに行ってパレードをすると聞いていた。海外から来ているESL学生にとってはハロウィーンの雰囲気が知れるし、子どもたちもみんなに見てもらって嬉しがる、というから一石二鳥なのね。


キンダーガーデンでは、幼稚園からグレード6までの生徒がみんな校庭でコスチュームを着てパレードするのだとか。帰ってきてエリックに「どうだった?」と聞いても、エリックってほとんど何も覚えてなくて、「先生がパンプキンの種をローストしたのをもって来てくれたのをみんなで食べた」という以外(食べたことだけはよく覚えているのね)、何の情報も引き出せなかった・・・。


さて、デイケアから帰ってきてからは、晩ご飯を食べた後でお友達のサニーといっしょに「トリック・オア・トリート」に行く予定が、サニーがデイケアの帰り道に眠ってしまったとかで、エリックは夫とふたりで行くはめに・・・。私はアパートに残ってキャンディーやチョコレートを配る役に徹する。子どもたちがボールからつかみ取りするのを諭したりしながら気付いたのだけれど、やっぱり小さい子どもたちの方がコスチューム姿はかわいい。大きな子どもたちになると、そのドラキュラ姿がちょっと怖かったりする。


1時間後に帰ってきたエリックの袋のなかには入りきらないほどのスウィーツが。「1日2個」で計算してもこれは数ヶ月はあると思う! このハロウィーンとともに、次はクリスマス、バレンタインデー、イースターと、北米ではチョコレート・シーズンが始まる。うーん、小さいころから甘いものの食べすぎです!