Saturday, October 20, 2012

初めての受賞とインターナショナル・バカロレアについて

KISでは毎週金曜日に学校の全体集会があって、そこで学校が掲げている各スキル分野獲得への取り組みが著しい生徒に対し、表彰がされることになっている。



先々週、エリックはCommunicators Awardを受賞した。みんなの前で表彰されるのは初めてであるし、ああいう恥ずかしがりなので、ちょっと照れたようだが、帰ってきてからそれを話すエリックの表情は非常に誇らしげだった。



夫によれば、KISは2006年にIBO(International Baccalaureate Organization)のPrimary Years Program(PYP)の認証を受けている。もちろん、この国際的知名度のある認証を維持するためには、その教育指針に沿ったカリキュラムを提供しなくてはならない。学校では、IB(インターナショナル・バカロレア)の指針に沿ったLearner Profileに基づいて生徒の教育にあたっている。



このプロファイルには、Inquirers、Thinkers、Communicators、Risk-takers、Knowledgeable、Principled、Caring、Open-minded、Balanced、Reflectiveという10の項目が含まれている。



これらは、学校がどんな子に成長してほしいか、という教育目標であり、教師、生徒、親もまた、こうした指針に基づいた対応が取れているのかをはかるクライテリアにもなる。



ひとつひとつ見てみると、どれもこれも子どもの知的発達と情緒発達を促すうえで非常に大切な項目だということがわかる。とりわけ、最近、北米では子どもの知的教育に何よりも大切だとされるlove of learning(新たな学習を求める姿勢)に鑑みてみた場合、非常に大切な要素である(私も夫も記憶力だけ鍛えられて、自分でものごとを検証、表現できない子どもを育てたいとは思っていない)。



また、同時に北米では、勉強だけではなく、子どもの情緒発達、社会的スキル(social skills)の獲得の重要性も声高に言われるようになって久しいが、こうしたスキルの獲得もひろく視野に入れていることがわかる。



夫はこうしたKISの教育プログラムを非常に高く評価しており、たとえ自分の研究に費やす時間が削られようとも、エリックをKISに入れたいと言い出したのだった。



こうした教育目標は学校にだけ任せておけるものではない、というのも私たちは十分理解している。学校で学んだことを家庭で繰り返しreinforceされる必要がある。プロファイルの言葉を日常的に使い、それを具体的に私たちの行動でもって示すことが大切であると思っている。



子どもの通っている学校と自分たちの教育方針が同じである、という認識を持てることは、何という安心であろう!  


参考までに・・・
5 Ways to Encourage a Love of Learning
http://www.scholastic.com/resources/article/5-ways-to-encourage-a-love-of-learning/

絵本批評「そらまめくんのベッド」☆☆☆☆☆(5ポイント)

近所の図書館で偶然見つけて、エリックが手に取った本「そらまめくんのベッド」。
なかや みわ さく・え(福音館書店) 3才~小学校初頭むき

そらまめくんがお気に入りのベッドは「くものように ふわふわで、わたのように やわらかい」(実際のそらまめの鞘がそうであるように)。それをちょっとだけ貸してちょうだい、というお友達のお願いに応えず、ひとりで楽しんでいるそらまめくん。



でも、ある日、ベッドがなくなってしまう。そらまめくんは必死に探すのだけれど、見当たらない。最初は「ばつ」だと思っていた友達も、だんだんかわいそうになってきて自分たちのベッドを貸してあげようとするが、どれもこれもそらまめくんの体型にはあわない。



探し疲れへとへとになったそらまめくんは、とうとう自分のベッドを見つけるのだが、それは大きなうずらの下敷きになっていた。よく見ると、うずらがふわふわベッドのうえで卵を温めているようなのだ。そらまめくんはしばらく近くで待ってみることにする。そうして待っているうちに卵がどうなるのか興味津々になっていく。



そんなある日、卵がかえって、ひなが生まれた。それを見たそらまめくんは自分のことのように大喜び。ひなを連れて去っていくおかあさんうずらは、無言でそらまめくんに感謝の気持ちを伝える。



ベッドが戻って喜ぶそらまめくんは、お友達といっしょにお祭りをする。そのあとは、もちろん、ふわふわのベッドでみんないっしょにおやすみ・・・。



単純な話だけれど、そらまめくんや友達の喜怒哀楽がこちらにも伝わってくるようで、非常に感情的に入りやすい本だと思う。読んでいて、何よりすがすがしい。この年代の子どもたちが学んでいる「シェアすること」と「シェアしたときのよろこび」をやさしく語りかけてくれる。



それに、絵もほんわかとしていて、そらまめくんのベッドは本当に気持ちよさそうに描かれていて、エリックも自分のふとんをそらまめくんのベッドにしようといろいろ工夫したりしている。そらまめくんやお友達の表情もとてもいい。



ところで、おかあさんうずらとひよこたちがベッドを後にして歩いていくときのシーンは次のようになっている。



・・・ひよこたちは ベッドから でて、おかあさんうずらのうしろを ひょこ ひょこと あるいていきます。

「げんきでね」

そらまめくんが てを ふると、おかあさんうずらは ふりかえって、そらまめくんを じっと みつめました。・・・ 



エリックに「どうしておかあさんうずらは、そらまめくんをじっとみつめたんだろうね」と聞くと、即座に「I think she wanted to say thank you to そらまめくん」という答えが返ってきた。文章にはどこにもそれ(おかあさんうずらが感謝していること)は書かれていない。エリックはその行間を読み取ることのできる年齢に達しているんだとこのとき初めて実感した。

ここから、言語能力で大切な文章読解や感情の機微を読み取る、というスキルが育っていくのだが、5歳でもうその萌芽が観察できることに気付いて少々驚いてしまった。これでついつい忘れがちな事実、つまり、エリックはまだ言語習得の分野ではcritical periodにいるのだ、ということを改めて思い出したのだった。

Sunday, October 7, 2012

日本に来て始まった吃音その後

日本に来て数ヵ月後に始まった吃音だが、よくなることもあれば、悪くなることもあり、未だに継続中。とくに、大泣きした後や、興奮したとき(早く何かを言いたいとき)、疲れているときなど、精神的に気持ちが高ぶったときにとくに現れるように思う。最初は英語だけに出ていると思われていたが、英語・日本語ともに出ている。



少しネット・サーチすると、親の影響が大きい、というのがやはり気になるところ。言おうとしていることを先回りして言ったり、せかしたりすることが、私はあったのだろうか。そう言われると「なかった」とは言い切れないのだが、一方では「それだけなのかなあ」という気もする。



アドバイスの大半は、親はほとんど無視するか、気にならないふりをして、子どもにも吃音を意識させないように、というもの。たしかにそうだと頷けるのだが、私たちはそれとは対照的に、エリックには「吃音は気持ちが焦っているから」と説明し、「ゆっくりしゃべるように」「吃音に気付くように」「深呼吸するように」と言ってきかせている。どちらかというと、エリックの方が気にしていない様子。ときどき吃音が出てくると、”Oh, I need to slow down!”と自ら言ったりもしている。



何が正しいのか分からないけれど、もし、あと半年ほど様子を見てひどくなっているようなら、専門家の意見を聞いてみようと思っている。

Friday, October 5, 2012

最近の様子(5歳4ヶ月,October, 2012)

日本に来てはや8ヶ月半。最初の1年という予定に照らしてみれば、もう3分の2が終わったということ。最初に思ったほど日本語は上達しておらず、同じ年の子に比べると日本語はまだまだビギナーレベル。9月からインターナショナル・スクールに行くようになって、日本語をしゃべる機会もぐっと減った。私も最近は(仕事の疲れからか、日本に対する失望からか・・・)日本語は後々やってもらってもいいかな、今は英語を母国語として学ばせておいてもいいかな・・・と感じるようにもなってきて、あまり一生懸命日本語を教えているとはいえないなあ・・・。

One of Eric's favorite playgrounds in Kyoto: Kamogawa 


・主要言語は引き続き英語だが、日本語へのスウィッチも簡単にする

・私とエリックの会話は私(日本語)、エリック(英語+日本語)。夫とはもちろん英語

・吃音はかなり減ったが、泣いた後とか疲れた日、精神的にUpsetした後にやはり出てくる。夫が熱心に指導中

・コードミクシングが頻繁に行われている

・「失礼します」とか「申し訳ありません」とか「お先です」とか「どうもどうも」など、どこで聞いてきたのかわからない丁寧語を使う(もちろん、私は教えてない)。頭を下げたりするところを見ると、どこかで誰かがやってるのを見たのか?

・英語は過去形、単数・複数形、代名詞、所有名詞などをおよそ正しく使っている。過去形の間違いがたまにある(winの過去形wonがwinedになったり、buyの過去形boughtがbuyedになったり)(継続)

・比較級の使い方(more bigger)にも間違いがある(継続)

・所有格mineがminesになっている(継続)

・アルファベットは上手に書けるようになった。日本語の文字は今のところ教えていない

・反抗期のピークは越えた? ひどく疲れていなければ、かなり冷静に話ができる

・絵を描くのが好き。引き続き抽象画専門(アクリル)。「白いところを残さずに描いてみて!」に新境地を見出し、色で塗りつぶすようになる

・「おべんきょうするよ!」と言って、「おべんきょうをするふり」をする

・「なりきり」ゲームに夢中。あるときはCat gameでネコになりきり、ある日はBug gameで虫になりきる・・・。そしてこっちもやらされる。これにはつきあってられない・・・

・食後にテーブルを拭くという仕事が与えられ、喜んでやっている

・甘いものに対する「食い意地」が張りすぎて、ときに恥ずかしい思いをさせられる

・自然が大好き。水に入ることが大好き。虫が好き

・合気道レッスンつづく(合気道のユニフォーム(?)も買った。あれを着るとちょっぴり強く見える・・・

新しい環境にも慣れたころ・・・

エリックが新しくインターナショナル・スクール(KIS) に入って1ヶ月が過ぎた。送り迎えはもっぱら夫の仕事となったので、私は夫やエリックからの報告を受けるだけだが、ふたりともKISに対しては文句なしにPositiveなようだ。あんなに夫を困らせ、私を悲しませていた「保育所に行きたくない!」がなくなり、「今日はどんな日だった?」に対する「うーん、あんまり・・・」もなくなった。それどころか、私が帰宅すると、うれしそうに学校であったことを話してくれたり、学校で習ったことを教えてくれたりする。この変化を見ていて、つくづく「学校を変えてよかったわ~」と思う。

夫によると、KISでは生徒に身に付けて欲しいスキルをきちんと提示して(たとえば、探求する力であったり、友達とコミュニケーションをする力であったり、お友達を思いやる力であったり・・・)、それを身につけるためのカリキュラムが組まれ、指導は常にこうしたスキル獲得にかんがみて行われる。少人数制なので、先生は常に生徒を観察しながら、生徒のよいところを伸ばし、矯正できるところは矯正していくことができる点も大きなサポートになっている。



思うに、シャイで何でも知りたがりの好奇心旺盛なエリックは、こういう環境ではメキメキ伸びていくに違いない。一安心、一安心・・・。