Friday, January 29, 2010

「もしもし!」

とかく子どもは電話が好きなものだが、エリックも以前から夫のセルフォンを見つけては、
-Hello, Mommy, hello Mommy…
と言っていた。
しかし、最近、電話のボタンを「ピッ、ピッ、ピッ」と言いながら押すまねをしてこう言っているのを発見。
おもち おもち!
なんで「おもち」なのかと思いきや、日本語の「もしもし」が「もちもち」になって、おもち好きのエリックが勝手に「おもち おもち」に改良したものらしい。
「それは、もしもし、と言うのよ」と言っても、未だ「さしすせそ」が言いにくいエリックが言うと、「もちもち」になっている。なんだかなあ…。

Wednesday, January 27, 2010

Trial and Error

いろんな言葉を異なる文脈上に置いて試している様子がうかがえる今日このごろ。
たとえば「べちゃべちゃしてる」という語。

「大きい音 べちゃべちゃしてる」
「この人 なんか べちゃべちゃしてる」
「オートミール べちゃべちゃしてる」(正解!)

いろんなケースで使ってみているので、こちらは何だか新鮮でおもしろいと思ってしまうのだが、こんなときには「音はべちゃべちゃしているんじゃないの」と教えるべきなんだろう。言語習得の過程ではこの時期はtrial and errorにあたるのであろうし(言葉の正しい使い方を探すために、さまざまな文脈にあてはめて試してみる)、そのときに正しい語の使い方を教えてあげるべきなんだろうから。でも、本当のところ、こうした言葉のなかで詩が生まれてくるような気さえして、私は「へーえ、そう言うんだ、なるほどね」と逆に納得したりしているから、いかんね、これは…。

Monday, January 25, 2010

感情表現

先の「こわい」の他に、ここ最近、自分の感情を表現する言葉が少し出てきている。といっても今のところは「すき」「きらい」「happy」「annoyed」くらいなんだけど…。
時々、エリックは私のところにやってきて、「me マミー hugして(る)」と言いながら、ぎゅっとハグしてくれる。そして、「meマミーのことすき」と言うのだ。そんなときのエリックはとってもsweetで私を泣かせる(心理的にね)。

ところで、このhugというのは日本語では「抱いてる/抱く」となるのだろうが、日本語では英語のhugがもっているカジュアルさがなくなって、もっぱら恋愛関係を示唆するような気がする。北米文化に10年浸った私としては、日本での親子関係からある時期からhugが抜け落ちることが残念に思えてならないし、日本に帰国して、カナダに帰るという際、私は母をhugしたい衝動にかられることもある。しかし、文化的抑制がそこで起こるのは、私が日本で育ってきたからだろう。夫はいつも義母を訪ねるときは髪の毛をなでてあげたり、手をさすったり、もちろん挨拶のときにはhugしたりして、そんな姿を見ていると、自分の感情表現をこうして相手に伝えることは自然なことだし、むしろ大切なコミュニケーションの手段と思えてくる。日本ではその自然さはタブーとされているけれど、うちの家庭ではエリックが大きくなってもhugを残しておきたいと思っている。そうすることで、自分の感情を上手に表現できる人になるのではないかしらね…。

Sunday, January 24, 2010

こわい

昨日、グラニー(義母)のナーシングホームに行ったときのこと。そのナーシングホームにはうさぎやら猫やらいろいろな動物がいて、エリックはグラニーよりもそんな動物に会いにいくのが楽しみなのだ。猫が大好きなエリックは、とくに猫を見ると必ずキスして「みや、みや」と喜んでいる。
最近、新しい猫が来たというので、いっしょに見に行った。カウチの上で、こちらに背を向けて丸まっている猫に向かってエリックは嬉々として近寄って行くのだが、猫がおもむろに顔を上げると、固まったように動かなくなった。
「えりちゃん、大丈夫? どうしたの?」
と聞くと、
マミー、このねこ…、ちょっとこわい
と言う。
見ると、ロングヘアーなのだけど、顔は野良猫のようにタフで、おまけに命賭けの決闘をしたかのように鼻のあたりに古傷まである。確かにちょっとこわい…。
「ちょっと強面だけど、だいじょうぶ。なでなでしてあげようね」
と言っても絶対に来なかった。動物を見て「こわい」と言ったのはこれが初めて。噛んだりもしない老猫なんだけどね…。ごめんね、アシュレー…。

言い間違い


「えりちゃん、大丈夫?」
と聞くと、必ず
だいぶとん
という言葉が返ってきていたのは数ヶ月前の話。最近は、
だいぶじょう
と言う。私がいくら「それ、だいじょうぶ、のことでしょう?」と言っても笑いながらやっぱり「だいぶじょう」。

ここ数週間の間、今度は新しい言い間違いが出てきている。
缶のふたを取りたいのに、取れないとき、私のところにやってきて、
マミー、これ、Openできよう
と言う。つまり「あけて(ちょうだい)」と言いたいらしい。
同じ状況でも、以前は「マミー、これやってみよう」と、兆戦的(?)ことばを使っていたのに、最近はおしなべて「できよう」で表現している。「あけてちょうだい、のことね」とその都度、言っているが、この言い間違い、いつまで続くだろう…。

Monday, January 18, 2010

最近のことば(2歳7ヶ月)

I like peach!
あ マミー なんか ここ ひげある
オッケー
いいよ、いいよ(そのままにしておいて、自分でやらせて、の意味)
マミー me Drop-in Centre 行こう
me ダディー 待って(る)
えりたんのおうち いちばん たかい ところ ある
マミー me クリーム ほしい とってちょうだい
えりたん テレビ ない(うちにはテレビはないのです)
マミー バッハ 聴いて(る)
Me little bit みかん 食べ(る)
まんま 食べ(て) そのあと さんぽ 行こう
外 暗くなった もうすぐ moon 出てくる
何か ここ ピカピカして ピーター flashing light
マミー me 小さい図書館 行こう
Me carrying Daddyの lunch bag
マミー ダディー がっこーで べんきょー して(る)
あ、 マミー かっこいい(ソックスをはくとこう言う…)
かんぱい!(教えたつもりはないけど…)
Mommy e-mail done
Me ginkoかきまぜて(る)

Thursday, January 14, 2010

ピーチ!

夫を呼ぶエリックは笑わせてくれる。
「ピータ、起きて!」
「こっち食べよう、ピータ」
「Peter, Come on!」
1ヶ月前まではほとんど「ダディ」だったのが、最近は「ピータ」「ピーパー」、おまけになぜか分からないが「ピーチ!」
昨日などは「little Peach!」(!)

夫は私が笑うから調子に乗ってそんな呼び方をしているのだと言う。それに、「ピータ」は明らかに「日本人アクセント」だと言う。つまり、この彼としてはいただけない傾向は、私によって助長されていると考えて、苦笑いしながらこうした呼称に甘んじている。
私の両親が聞いたら卒倒することだろう…。

書く能力を鍛える(・・・でも書くことによってではなくて)

前回のポスティングに関連して、思い出したこと。
1日が終わるとき、その日のうちの出来事を順番に話してあげることは、将来、文章を書く能力につながるらしい。どこで読んだか忘れてしまったが、これは私、絶対にあると思う。

小学生低学年の作文って、まさにこれで、「朝、顔を洗って、朝ごはんを食べて、学校に行きました。学校では2時間目のあと、運動場でなわとびをしました・・・」の、出来事の羅列風。でも、これは文章を書く上では基本となる骨格で、ここから、想像力や工夫が出てきて、文章はどんどん個性的に飛躍していくのである。

なので、私もこうやってその日にしたことの記憶をたぐりよせながら、思い出させながら、言わせながら、会話をするようにしている。夫は夕食では必ずといっていいほど「What did you do today?」と聞くのだが、夫の帰る前に、私はエリックと予行演習までしている。以前はひとつくらいしかやったことをいえなかったのに、最近ではポツリ、ポツリ、いくつか出てくるようになった。言葉を話させるためにも、記憶力を刺激するためにも、将来、書く能力につなげるためにも、これは絶対におすすめです。

Wednesday, January 13, 2010

簡単なストーリーを喜ぶ

エリックのヒーローといえばプーシキン
「えりちゃんのおともだちはだれ?」
と聞くと答えは
「プーチ(プーシキンのこと)!」
プーシキンとは、夫の両親のところで飼っている猫(近所では「ターミネーター」との異名を取る凶暴な野生動物ハンター)。食後に口を拭かれるのを嫌がるときには「そんな汚れた顔ではプーシキンがびっくりするわよ」、「プーシキンはシャンプーが大好きなのよ。毎日、シャンプーしてきれいになってるわよ」(嘘、嘘、真っ赤な嘘! あのワイルドな猫はお風呂だってしたことないの!)で、数日後には自らシャンプーをして欲しがり、かくてシャンプー嫌いも解消…。

そんなエリックに、あるとき、プーシキンに関するお話をしてあげた。あるクリスマスの日、明け方に私の眠っているベッドへやってきたプーシキン。濡れた鼻を私のほっぺに押し付けてゴロゴロした後、突然ブブーッと強力なおならをして部屋を出て行ったのだ。私はそれを簡単なストーリーとしてエリックに話してあげた。それを聞いているエリックは、明らかに表情を明るくさせ、目をきらきらさせて一生懸命に理解しようとしている様子だった。語り終えると、「もういっかい!」とせがむので、もう一度同じ話をしてあげた。

数日後、ストレッチしている私のそばに来て、「マミー ねんねしてた プーチ(プーシキン) ベッドに来て チュッ。プルプルプル(おなら)して 出てった」と言ったのだ。よく覚えていたね、と喜んであげると、うれしそうにして、今度は帰ってきた夫に同じように話してあげていた。それからも何度も同じ話をするようにとせがまれた。

さらに、エリックが「No, no, no」と言うのに手を焼いた私が、適当に「No No bunny」というお話を作って(勧善懲悪)「それで、バニーのお友達がたくさん増えて、みんなで仲良く遊んだのですって!」と話すと、「もういっかい!」とせがまれて、その後も何度かせがまれて、数日後には、あら不思議、あんなに「No, No」だったエリックが、あまりNoを言わなくなったのだ。

この傾向は明らかにここ数週間ほど前に始まった。それで、思ったのだが、この年齢になるときっとストーリーが心に響いてくるのだろう。雲の向こうにバニー(エリックの好きな動物)の国があって、そこでは・・・といった、私のでたらめの話を何度も何度も聞きたがる。そして、自分で一生懸命、それを繰り返す。本を読むのもいいけれど、こうしてしっかり目を見て簡単なストーリーを話してあげることも言語の発達上、非常に大切なんだと、これは本当に本能的にではあるけれど、思ったわけです・・・。

Tuesday, January 12, 2010

歌が好き

この時期の子どもって、こんなに歌ばかり歌っているのだろうか。朝から晩までひとりで遊ぶときはいつも歌っている。歌える歌は「Twinkle Twinkle」と「Frere Jacques/Brother John」(これ、日本語ではどんな歌詞?「さよなら さよなら またあした…」だったような気がするけど、そのあとが不明。ご存知の方、教えてください)だけなのだが、歌詞がいろいろ変わるのだ。

たとえば今日は…
(Twinkleバージョンで)「プーチ プーチ プチプチプ プチプチプチプチプチプチプ Up above the world so high プチプチ プーチ プチプチプ・・・」
(Frere Jacquesバージョンで)「マミー マミー マミー マミー またあとで またあとで マミマミマミ マミマミマミ ごめん ごめん」

意味不明…。なんだか、こんなのばっかり朝から晩まで聞かされてて、ちえみママ、大丈夫?

Monday, January 11, 2010

The Mitten(Jan Brett)

ウクライナ系カナディアンの友人がプレゼントしてくれたウクライナの物語がベースの絵本。ニッキという男の子の落とした手袋になかに動物たちがあったまろうと入っていくのだけれど、最後に熊の「アーッチューン!」でみんなが飛んで、空に舞い上がった手袋を男の子が拾うという筋・・・。

最初に読んだとき、「手袋のなかにくまが入る、そんなのってありますか!」と思って夫に言うと、「そこは子どもの本だから、子どもはそんなことを訝ったりはしないもの」と言われた。何度も何度も読んでいるうちに、ストーリーの繰り返しにきっと子どもも安心感を感じるのだろうと思ったり、絵のなかに左右設えられた小さめパネルのストーリーにも目が行くようになって、「なかなか精巧にできているのね」と感心するようになった。

エリックもこの本が好きで、熊のくしゃみというクライマックスではみんなが飛んでるように手をひらひらさせたりして喜んでいる。絵のなかのウクライナ的な模様や服装なども興味深い。ちなみに、この本(英語)は私の即興日本語訳で読み聞かせている。繰り返し性があるストーリーなので、毎回、訳のズレも少なく、結構自分の日本語訳も気にいっている(って、それは余談ですな…)。

最近の様子(2歳7ヶ月)

・英語がちょっぴり追いついてきた
・英語の発音がネイティブらしく聞こえるようになった
・英語・日本語の混合文をつくることもよくある
・以前にも増して洗練された文章をつくるように(「あ、かみのけ あった。これ、長いか(ら)、たぶん、マミーの」)
・新しい単語を教えると、すぐに覚える(翌日試しに聞いてみると、だいたい覚えている)
・1人称は「Me」「えりたん」「えびちゃん」「エリク/エリック」「エリツィン(!)」
・2人称はまだ出てこず
・過去は今朝のことでも「きのう」で示す
・未来は「あとで」を使う
・私の話す簡単なストーリーに興味をもちはじめる
・歌が好きで、家でひとりで遊ぶときは始終歌っている(完全に歌える持ち歌は「きらきらひかる」と「Frere Jacque/Brother John」のみ)
・ごっこ遊びが出てきた
・シャンプーで泣かなくなった!
・ブランケットのなかに入りたがるように

「ごっこ遊び」が出てくる

最近よくやっているのが、これ。
カップを手にして、田植え/どじょうすくいでもするような格好で(その姿がかなりおかしい)そのカップに何かを入れて(何度も)、そのあと、私にくれる。私が「なに、これ?」と言うと、答えは決まって「Pineapple Tea!」ワオ!(なんじゃ、それ?) ごくごく飲んだふりをしてみると、「マミー、くんくん」と言って、においも嗅ぐよう促される。においを嗅いだふりをして「ふーん、そういや、パイナップルのにおいがするわね」と乗ってあげると、うれしそうにしている。飲み終えたふりをして「はい、ありがとう」と言うと、また最初からお茶を入れてくれる・・・。
さらに、ボールにいろんなものを入れて、あわたてきを使い「Me かきまぜて(る)」と言いながらシャカシャカする。「何を作ってるの?」と聞くと、「たーまご!」。こりゃまた、ぐりとぐらの影響かしらね・・・。

Saturday, January 9, 2010

あなたの名前は何ですか?

エリックが呼ぶ自分の名前は複数ある。
Me(これが一番多い)
えびちゃん(笑いを取るので喜んでやっている)
エリク/エリック
えりたん(私が「エリちゃん」と呼んでいるので)
そして、最近、なぜか出てきたのが・・・
エリツィン!
ちょっと、まさか~。やめて~。あの酔っ払いの名前・・・。

英語が増えてくる

前期が終わるころは、夕食後にも図書館へ向かい、深夜までそこで勉強していた夫だが、約2週間の冬休み、エリックといっしょに散歩に行ったり、博物館へ行ったりして2人の時間が格段に増えた。そのためだと思うが、この間、エリックの言葉に英語が増えてきた。
「ダディ Over there 行こう」
「Me little bit apple食べよう」
「Getting dark もう外行かない」
「Bird flying はっやーい(速い)」
以前は単語をぽつぽつ言ってただけだが、ここ最近はこんな風に、いくつかの単語を並べて使っている。ほんのわずか2週間なのに、この年齢の子どもって本当に驚くべき吸収力! すべて英語環境のデイケアに行くようになると、英語の伸びるのはあっと言う間なんだろうね・・・。

Tuesday, January 5, 2010

夫と私の感情の差


Eをバイリンガル環境で育てる上で、夫と私の間に確執(というと大げさだけれど、ちょっとした感情の違い)はあるのか。

今に至るまで、Eがしゃべる言葉の大半が日本語なので、夫には理解できないことでも私には理解できるようなケースが頻出していた。たとえば、大学から帰ってきた夫が「What did you do today?」と訊ねると、Eは「えーっと、あの、Me 昨日、ドロップインに行った ジョナサンいた」なんて答える。でも、夫は分からない。Eの発音が正確でないのと、小さな声でしゃべるのと、私は1日中一緒にいるからすべての行動を見ているけれど、夫はそうではない・・・、そんなこんなで、そんなときは私が日本語を言い直す。そうすると夫は理解するのだが、ここに1段階あるのがちょっぴり面倒、と私は感じていた。

しかし、最近、同じようなことが私の側にも起こるようになったのである。英語を使うようになったEが昨日、「Me coming down、 stairs」などと言ったとき、それまで使ったことのない単語(あるいは予測できない単語)が出てくると、「え、何?」となり、その横で夫はちゃんと理解するという状況が現れたのである。ちょっと取り残された感じに困惑した私・・・。それで初めて私は夫がこれまで聞き取れない日本語に対して持っていたであろう感情に気付いたというわけだが、それを夫に言うと、「え、そんなことはないよ。英語は放っておいても身につくんだからそのくらいの方がいい」と寛大なお答え。

私が心配したり気にかけたり、気を遣ったりしている一方で、夫はまったく気にもかけていない、といういつものパターンらしい。でも、やっぱり自分の言語を学び、それを子どもが話せるようになるとうれしいのは当然のことで、「I like carrot」とか「I’m done」とか短い文章を真似させながら、うれしそうな夫。そういえば、Eがまだ赤ちゃんのときは散歩に連れて行って「とりがいるね」という私の横で「birds!」と言う夫と、「混乱しないといいんだけど」と心配していた私。2歳半になった今から思えば、子どもは私たち大人とは違って、2言語(あるいは多言語)に日常的に浴しているからといって混乱することはないと信じられるようになっている。