Wednesday, May 9, 2012

日本で始まった吃音

数週間前に夫が言った。「エリックの吃音に気づいた?」

そう言われてみれば確かにそうだ。文頭のIを何度も繰り返したりして、ときどき、しどろもどろのスピーチに聞こえることがある。急いで言おうとしているんだけれど、言葉がそれについていかない、という感じだろうか。


夫は吃音はストレスと関係があると言う。確かに、これは日本に来てから表面化した問題である。エリックにとってはまったく新しい文化にやってきてこの文化独特の習慣ややり方があるなかで、いろいろなストレスに直面しているに違いない。そうしたそぶりはまったく見せないことに、実は私も驚いていた。ただ、表面的には順調に適応しているように見えても、実は見えないところでストレスがあるのかもしれない。


夫が言うには、吃音は指摘したりからかったりするとますますひどくなる傾向があるので、そういうことは絶対にせず、「ゆっくり」とか「Slow down」という言葉を繰り返しかけることが必要であるという。しばらくはこれで様子を見てみよう、ということになった。


確かに、私も以前読んだことがあるが、吃音は一時的であることが多いので、しかったり、注意したり、言いなおしをさせたりすることはむしろ害があるだけで、親があせらず対処することが肝要であるらしい。何でも同じだけれど、やめさせたい行動に特別な注意を向けると、かえってやめさせることは難しい。なので、できるだけ普通に対処することが大切。それに、親は日ごろから、子どもが何か説明しようとするときに先回りして言ったりするのを避けることも必要だとか。ふーむ、私、これをやってきたのかもしれない・・・。


さらによく考えてみると、ときどきエリックのいうことが理解できないことがあって(私にとっては英語だし、やはりたまに発音が間違っていることもある)、そのときに彼は一生懸命に説明を試みるのだが、最後までわからないとこっちがあきらめて、「ちょっとよくわからないなあ」と話を打ち切ったりしたこともある・・・。お料理とか、何かやっているときに話しかけられて、それが分かりにくいと「ちょっと、今、忙しいからやめて」と言ったりもした・・・。


こんなことを考えていると、育児に関する問題では決まってそうなのだが、「親である私のやり方が悪いんじゃないか」というところにたどりつく。子育てに関しては100%自信をもってやるってことは自分だけのことに比べて数段、難しい。


私の観察では、英語を話すときによく吃音があらわれているように思うが、日本に来て3ヶ月の現在も、未だにエリックの主要言語といえば英語で、長い文章になると日本語では伝えられないようなので、そのために英語の方が吃音が多いように思うのかもしれない。


確か2歳くらいのときにも吃音があり、そのときはトロント市のPublic Healthのナースからは同じようなことを聞いて、しばらく様子を見ているうちに、徐々に気にならなくなった経緯がある。ただ、前回は言葉がどんどん出始めたころでプレイグラウンドでもよく「そのくらいの吃音はよくあることよ」と言われたものだ。今回は5歳直前ということでちょっと気にならなくもない。


それで思ったのだが、こういうとき日本では誰に相談すればいいのだろう。トロントではこうした子育てに関する心配事を受け止めてくれるリソースが驚くほど身近にあったのだなあ、と今になって思う。


昨日から、夫はエリックの吃音が出ると「ほら、そういうときは気持ちが焦っているのかもしれないから、落ち着いてゆっくり話してみよう」と辛抱強く言ってきかせるようにしているのに、私は気付いた。きっと少し話したのかもしれない。私も子どもの話をしっかり聞くように、先走ってこちらから先に言わないように、気をつけておこう。

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