Saturday, February 19, 2011

日本語を話さない②(3歳7ヶ月) bits Magazine 連載コラム

1日の会話が英語99%、日本語1%となったエリック(現在3歳6ヶ月)。私が日本語で言ったことは理解しているけれど、いつも英語で返してくる。そのことが気になっていた私を驚愕させる事件が数日前に起こった。

今まで「日本語で話してね」に対し、”I don’t know にほんご”と言っていたエリックだが、ちょっと無理して私の日本語を繰り返させると、それは非常にたどたどしく、その発音は日本語とは思えないものになっていた! 正直言って、このときばかりは、問題の大きさを認識した。聞けば分かるけれど、自分では話せないバイリンガルをpassive bilingualと呼ぶが、エリックも今、まさにpassive bilingualの道を辿りつつあることに気付いてはっとした。

コラムを読まれた方々、デイケアのスタッフから次のようなご指摘をいただいたので、ここで共有してみたいと思う。
・「お母さんは英語がわからない」を貫き通し、英語には絶対に反応しない
・日本語プレイグループなどに積極的に参加し、日本語で話せる友達をつくってあげる
・日本語のテレビ番組や映画などを見せて、日本語の世界の広がりを感じさせてあげる
最初の1点に関して言えば、「英語がわからない」は私も一応通してきたが、そう言いながらも、エリックの英語に日本語で答えてきた。クリスティーナ(デイケア・スタッフ)によれば、これがよくないらしい。あくまで「英語がわからないふり」をして、英語には絶対に反応しない必要があるという。

振り返ってみると、私は「でもね、それじゃあ忙しい時には事が運ばないじゃない…」と思ったり、日本語を今話さないのも子育てによくある「一時的なこと」かもしれないと思って、そこまで強く言ってはこなかった。さらによく考えてみると、私って厄介なくらいの正直者だから英語で話しながら「英語がわからない」と言うことに対して多大なためらいがあることにも気付いた。

最近のエリックが、”I’m teaching you English”と言ったり、私と夫の会話に入ってきて”See, you can speak English. You can do it!!”と言って、自分が先生役になっていると思い込んでいる節があるのは、私の曖昧な態度やためらいに対する反応なのだろうか。

さて、次のポイントは、私以外にも日本語が通じる場所があることを教える、という点。フランス語で4歳児を育てている知人からは、この問題に関して「あなたの努力が足りないからよ」とズバリ言われてしまった。家にはテレビはないし、重い腰をあげて日本語サークルに行くか・・・。

英語が伸びて日本語が低下した時期は、私が復学して多忙を極めるようになった時期、エリックがデイケアが楽しい!と感じはじめた時期と重複している。子どもと共に過ごす時間が少ないワーキング・マザー(やフルタイム学生マザー)の場合、バイリンガル育児はより大変なのかもしれない。

しかし、まだまだ取り返しがつかないわけではない。私のバイリンガル育児はやっと始まったばかり。「英語がわからないふり」が窮屈に感じている私、昼間、日本語サークルに行く時間が取りにくい私は、これからは心して私独自のクリエイティブなやり方で日本語を教えていくしかないのだ、と新しい年に誓ったのであった。

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