3歳の子どもがいじめを経験するはずがない。そう思ってた私は、数日前、寝る前のおはなしをしているときにエリックがToday there were 3 accidents...と言って話し出したことが信じられなかった。
Eによれば、その日、デイケアで3回泣いたというのだ。
1度は、走っていたマシューがEのわき腹にあたって、Eが泣いたということ。これは私も迎えに行ったときにスタッフのキャロラインから聞いていた。「単にアクシデントだったし、マシューは謝って、エリックもあとは握手をして笑っていた」とのことだった。
2度目はエリックがつくっていたレゴ(スペースシップらしい)をマシューが壊したという。Eは泣いて、マシューは謝ったらしい。
3度目は? と聞くと、マシューが突然やってきてエリックの背中をたたいたと言う。
叩かれた? ムムム、これはひょっとすると「いじめ」なのでは? よく考えると、その疑惑を裏付けるような事実がいくつかあった。
まず、最近、I don’t feel like going to schoolと言ってデイケアに行きたくないと朝よく言っていたこと。その割には準備もさっさとするし、靴も自分ではこうとするし、泣くこともなかったのであまり深くは考えていなかったが、それって「いじめ」を示唆するサインだったのでは?と心配が心を過ぎった。
マシューの名前は以前からよく聞いていた。一緒によく遊んでいるみたいで、マシューといっしょに何かしたとか、マシューが泣いたとか、そういうような話がときどき出ていた。そういえば、何度か「マシューが叩いた」というようなことを言っていたといまさらながらに思い出した。
もうひとつは、わからないようにそーっと眺めていたデイケアでのEは、お友達と遊ぶというより、ひとりでみんなの遊ぶのを眺めているという姿だったこと。デイケアのスタッフに言うと「そんなことはないわよ。みんなと会話してるし、一緒に走ったりもしてるわよ。あなたが見たときに、たまたまそうしてただけだと思うわよ」とか、夫も「そうかな。ぼくが見たときにはプレイグラウンドで何人かのお友達とそりをひっぱって笑ってたよ。マシューが中に乗ってたね」という。
マシュー? 無理やりひっぱらせられてたんじゃないの? 疑問はどんどんふくらんでいく・・・。
その夜、エリックが寝たあとで夫にその話をすると、いつもは心配などしない夫もちょっぴり気になったようで、「明日、デイケアのスタッフと話してみる」と言っていた。
その夜はじめて、私はいじめにあった子どもを持つ親の気持ちというのを考えてみた。それは何という不安だろう。自分の子どもが辛い思いをしていると感じるだけでも心苦しいのに、それが今後、その子にどんな悪影響を及ぼすのかを考えるとたまらない。さらに、自分の育て方が悪かったのでは? と自分を振り返って罪悪感すら感じ始めた。もちろん、子育てをした親で「100%後悔はない!」と言い切れる親はいない(ドラゴン・マザーのAmy Chiauですら「後悔はいっぱいある」と言っていた)。でも、子どもがいじめにあっていると知ると、その後悔が後悔をとおりこして、「罪」という重荷となってのしかかってくる。
エリックははじめての場所に行って、遊んでいる子どもたちの輪に積極的に入っていくタイプではない。よく私の後ろに隠れて、そこからじっと子どもたちを観察して、私か大人の手に引っ張られて入っていく、どちらかというと慎重派。のんびりしていて、周りが何をしてようが、わが道を行くというところもある。そうした性格が影響して「いじめ」にあっているのだろうか・・・。
翌日も私の頭のなかはいじめ疑惑でいっぱいだったけれど、とにかく夫の帰りを待つことにした。夫は私の顔を見るなり、笑顔でNo need to worry. I will explain laterと言ったことから、私もほっと一安心した。
話を聞いてみると、夫が「実は、エリックが昨日、学校で叩かれた・・・、という話をしはじめたんだけど・・・」と切り出すなり、スタッフは「あ、それ、マシューのこと?」と察しがついたらしい。
スタッフによれば、マシューは誰彼かまわずお友達を叩くことがあるらしいのだが、エリックはマシューとよく一緒に遊んでいるため、叩かれやすいのだとか。叩かれて、泣くこともあるけれど、いつもはHey! Don't do that. I don't want you to hit me. Don't do it, never, never, again. If you hit me again, I won’t play with you! (やめて! 叩かないでほしいから、絶対に、絶対に2度としないでね。もしまた叩いたら、もう一緒に遊ばないからね)とはっきり大きな声で言っているらしい。エリックは年上の子たちと遊ぶのが好きらしく、1歳上のマシューともよく一緒に遊んでいるそうで、先日はスタッフと話をしているときに「My best friend is Matthiew」と教えてくれたとか。
夫の話を聞いて、「早とちりだったのね」とほっと胸をなでおろした私だが、1晩だけいじめられた子どもの親の立場に立ってみて、これは本当に大変な問題なのだということを実感した。誰かからいやなことをされたときにはきちんと言葉で拒絶することをエリックに繰り返し教えていた夫にはとても感謝している。
今後、ひとつ、私たちができることは、何でもいいのだけれど、エリックが好きなことを見つけるサポートをしてあげて、それを最大限伸ばしてあげること。「これだけは誰にも負けない」という自信があると人間って強いと思うのだ。
こうしていじめ疑惑騒動は一件落着と相成ったのだが、今後どうやってエリックに自信を持たせてあげられるか、といった話を夫ともしたりして、なんだかいろいろ考えさせられるよい機会だったわ・・・。
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