エリックが早産で生まれてしまったのは、引越しで重いものを運んでしまったからだ。・・・と私は今も信じている。夫は「生まれるべきときに生まれた」のだと言うけれど。
私たちがトロントで2度目に引っ越してきたのは、トロント大学(U of T)の家族レジデンス。夫は9月からトロント大学大学院の修士課程をはじめる予定だった。
このレジデンスは実に興味深いところだった。テナントはすべてトロント大学の大学院で学ぶ人とその家族。世界中からトロント大学へやってきた大学院生が住むレジデンスは、マルチカルチャーのトロントのなかでも、その核心といった雰囲気をもっていた。
レジデンスには、子どもを連れて来ることのできる「ドロップ・イン・センター」があって、頻繁に利用していた私は、そこでいろんな文化背景を持つ親子に出会った。このドロップ・イン・センターを通して、トロント市が無料で開催している「Nobody's Perfect」というプログラムに参加した。ファシリテイターのノエラは、エリックが早産で生まれたこと、出産後の私の体重が減っていることを聞くと、パブリック・ナース(保健婦)の訪問を受けることを勧めた。
早速、トロント市保健課に電話をすると、エリックの発達をはかるための簡単な口頭試問的なチェックをされた。「ひとりで立つか」「バイバイで手をふるか」「名前を呼ぶと振り向くか」などの項目に答えていくのだが、そのチェックが終わって、「何か心配なことはありそうですか」と聞くと、「言葉の発達が遅れている可能性が高い」と言われた。そして、そのことをパブリック・ナースにも伝えておくと言われた。
このコメントを聞いた私はあまり気にしていなかったが、それを聞いた夫は育児書を本棚から取り出して「たしかにバブリングは6ヶ月ごろから始まると書いてある」といささか心配気味だった。エリックは「マンマ、ンマンマ」といったようなことを言い始めてはいたが、それが「食事」なのか「ママ」なのかはよく分からなかったし、何を見ても「マンマ」だった。
しかし、1歳を迎えるころ、言葉の始まりであるバブリングが始まった。何を言っているのかはわからないが、いつもひとりごとを言っているような感じで話していた。育児書には6ヶ月から始まるとあるが、エリックは11ヶ月ということで少し遅れている。
訪問してくれたパブリック・ナースのシャーリーは、エリックの様子を観察しながら、「言葉が遅れている可能性があるので、これからも様子を見守っていきましょう」と私に伝えた。
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