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Friday, January 25, 2013

絵本批評:「ふたりはともだち」アーノルド・ローベル

「ふたりはともだち」
アーノルド・ローベル 三木卓訳  文化出版局
ふたりはともだち (ミセスこどもの本)
最近、エリックがはまっているのが、アーノルド・ローベル。

1970年に書かれたこの本はかなり古いし、絵や日本語の本の装丁も古さが残るのだが、こういう本は長年読まれてしかるべきだと思う(それにしても、文化出版局はよい翻訳絵本を出しているし、翻訳の質もいい)。

ローベルの本は本当にユニークだ。他の本もそうだが、奇想天外な話から、思い違いや勘違いからのお話など、あれれ・・・という不思議な話もある。私たち大人の感覚からするとちょっとずれているようだけれど、エリックは非常に喜んでいるし、私も何度も読むうちにとっても好きになった。

これは「かえるくんとがまくん」シリーズのひとつで、本のなかには5つのおはなしが入っている。私たちは一冊読むのは大変なので、毎晩、2つか3つのおはなしをエリックに選んでもらって、読む。でも、このなかでエリックが好きなのは「すいえい」と「なくしたボタン」。私もそうだ。「ボタン」では、がまくんとかえるくんが散歩にいって帰ってくるのだが、がまくんがジャケットのボタンを落したことに気付く。かえるくんはもときた道を戻ればいいさ、といってふたりはもときた道を戻っていく。いくつかボタンを見つけたり、ひろってくれる動物がいたりするのだが、どれもこれも違う。最後にがまくんは怒って家に帰るのだが、ドアを閉めたとたん、そこになくしたボタンを発見する。がまくんはかえるくんに迷惑をかけてしまったことを思い、拾ったボタンをぜんぶ上着にぬいつけて、かえるくんにあげる・・・というお話。



とにかく「ふたり」の関係がおもしろいし、心あったまるし、ちょっとぼけてる風ながまくんも実はすごく人間的に(というか、かえる的に)強いところがあったり、と、いろいろと細部まで楽しめる、奥の深い本だと思う。

絵本批評:「このよでいちばんはやいのは」

「このよでいちばんはやいのは」

ロバート・フローマン原作 天野祐吉翻案
福音館書店
このよで いちばん はやいのは (かがくのとも絵本)
エリックにはいささか早いか、と思いながら将来のエリックと私のために買った本。

この本は「はやい」というのが「何かに比べて」であることを明かした後、うさぎやかめから、どんどんはやいものを出してくるのだが、最後にいちばんはやいのは私たちの想像力だということになっている。


でも、正直言って、音までは何とかなったけど、地球の自転の早さとか、公転の早さというところにいくころにはもう私の想像力がつきかけてきて、ヒャ~!っという感じになってしまった。なので、最後に「想像力」となったとき思わず「こりゃいかん!」と思ってしまった。

「比べる」というのは子どもが成長して持つことになる科学的な力のもとになると思う。なので、こういう本はありがたい。なかなかいい本だとおもう。

Saturday, October 20, 2012

絵本批評「そらまめくんのベッド」☆☆☆☆☆(5ポイント)

近所の図書館で偶然見つけて、エリックが手に取った本「そらまめくんのベッド」。
なかや みわ さく・え(福音館書店) 3才~小学校初頭むき

そらまめくんがお気に入りのベッドは「くものように ふわふわで、わたのように やわらかい」(実際のそらまめの鞘がそうであるように)。それをちょっとだけ貸してちょうだい、というお友達のお願いに応えず、ひとりで楽しんでいるそらまめくん。



でも、ある日、ベッドがなくなってしまう。そらまめくんは必死に探すのだけれど、見当たらない。最初は「ばつ」だと思っていた友達も、だんだんかわいそうになってきて自分たちのベッドを貸してあげようとするが、どれもこれもそらまめくんの体型にはあわない。



探し疲れへとへとになったそらまめくんは、とうとう自分のベッドを見つけるのだが、それは大きなうずらの下敷きになっていた。よく見ると、うずらがふわふわベッドのうえで卵を温めているようなのだ。そらまめくんはしばらく近くで待ってみることにする。そうして待っているうちに卵がどうなるのか興味津々になっていく。



そんなある日、卵がかえって、ひなが生まれた。それを見たそらまめくんは自分のことのように大喜び。ひなを連れて去っていくおかあさんうずらは、無言でそらまめくんに感謝の気持ちを伝える。



ベッドが戻って喜ぶそらまめくんは、お友達といっしょにお祭りをする。そのあとは、もちろん、ふわふわのベッドでみんないっしょにおやすみ・・・。



単純な話だけれど、そらまめくんや友達の喜怒哀楽がこちらにも伝わってくるようで、非常に感情的に入りやすい本だと思う。読んでいて、何よりすがすがしい。この年代の子どもたちが学んでいる「シェアすること」と「シェアしたときのよろこび」をやさしく語りかけてくれる。



それに、絵もほんわかとしていて、そらまめくんのベッドは本当に気持ちよさそうに描かれていて、エリックも自分のふとんをそらまめくんのベッドにしようといろいろ工夫したりしている。そらまめくんやお友達の表情もとてもいい。



ところで、おかあさんうずらとひよこたちがベッドを後にして歩いていくときのシーンは次のようになっている。



・・・ひよこたちは ベッドから でて、おかあさんうずらのうしろを ひょこ ひょこと あるいていきます。

「げんきでね」

そらまめくんが てを ふると、おかあさんうずらは ふりかえって、そらまめくんを じっと みつめました。・・・ 



エリックに「どうしておかあさんうずらは、そらまめくんをじっとみつめたんだろうね」と聞くと、即座に「I think she wanted to say thank you to そらまめくん」という答えが返ってきた。文章にはどこにもそれ(おかあさんうずらが感謝していること)は書かれていない。エリックはその行間を読み取ることのできる年齢に達しているんだとこのとき初めて実感した。

ここから、言語能力で大切な文章読解や感情の機微を読み取る、というスキルが育っていくのだが、5歳でもうその萌芽が観察できることに気付いて少々驚いてしまった。これでついつい忘れがちな事実、つまり、エリックはまだ言語習得の分野ではcritical periodにいるのだ、ということを改めて思い出したのだった。

Monday, January 9, 2012

絵本批評: Shrek! by William Steig




エリックの最近の大のお気に入りといえばこれ。映画にもなった「シュレック」だが、私は最初エリックと読んだとき、「変な本だわねえ・・・」とつぶやいた。とっても難しい単語や言葉遊びがたくさん出てきて私には難しいうえ、みにくい人かモンスターが主人公で、最後に同じようにみにくいプリンセスと結婚する、というストーリーも何だかとっても奇妙に感じられた。エリックの大好きなDr.De Sotoの著者William Steig(ウィリアム・スタイグ)だからと図書館で借りてきたのだけれど・・・。


しかし、夫が何度か読んであげているうちに(夫の読み方を聞くと、私とは違って英語のリズムで読んであげている。このあたり、私にはできないんだなあ・・・)、エリックはこの本が大好きになり、そのうちに文章を覚えて、ふとしたときにそれらを言うようになった。そうして暗誦しているときのエリックはとっても楽しそうなのだ・・・。


ストーリーは醜いシュレックが旅に出て、魔女と出会って彼女の予言を聞く。それが本当になって、最後には同じように醜いプリンセスと結婚する、というもの。でも、この本の醍醐味はストーリーではなくて、言葉の響きや詩のようなリズムある文章だろう。何度も何度も繰り返して読むうちに、子どもは英語のことばのリズムと遊びを感じ取るのだと思う。


それにしても、子どもと大人ではこれほどまでに捉え方が違うのだ、とこの本は改めて教えてくれる。大人がおもしろいと思った本も、子どもには?ということもあるし、反対も然りである。そうすると、疑問なのは、大人であるウィリアム・スタイグはどうしてこうした本が書けたのか、ということである。それも、こんなに自然に、言葉が流れ出すように書けるというのは驚きでしかない。ウィリアム・スタイグ、やっぱりタダモノではない・・・。

Thursday, November 10, 2011

おはなし絵本1 千葉幹夫/編著  成美堂出版

よみきかせおはなし絵本〈1〉むかしばなし・名作20画像はAmazon.co.jp


海外暮らしなので、日本語の本はたくさんあるわけじゃない。だから、日本の親戚にもらったこの「おはなし絵本」は重宝する、と思っていた。日本とヨーロッパの昔話を集めたこの本は、「赤ずきんちゃん」や「さるとかに」、「おおかみと7ひきのこやぎ」「花さかじいさん」「かちかちやま」など20ものおはなしがそれぞれ違うイラストレーターの絵で描かれている。CDもついている。


でも、エリック、この本を最近まったく読みたがらない。「なんで?」と聞くと、「だって、最後がかわいそうな話ばかりだから」。お話の最後は、おおかみが井戸に落ちて沈んだり、サルが殺されたり、たぬきがおぼれたり・・・、確かにそうだわね・・・。

私も実は数回読んだあとで、「ちょっとこれは子どもには読みたくないなあ」と感じ始めた。勧善懲悪は昔話の基本だというのはわかるけれど、話が驚くほど大ざっぱなので、懲悪の部分だけが際立ってみえるのは確か。

文章も工夫がなく、凡庸で豊かさに欠けるし、もう、この際ついでに言わせてもらうと、絵(というか子どもだましのイラスト)もいかにもという感じで質が悪くて想像力に欠けるばかりか、私が見ても何だか妙に怖いものもある(したきりすずめ)。一冊で20ストーリーとは得した気分! と思ったけれど、子どもに拒否され、私も読んであげようとは思えない本である。

Monday, November 7, 2011

Doctor De Soto by William Steig

Doctor De Soto


偶然、本屋さんで見つけて読んだAmazing Boneのストーリーラインには奇妙な感じを覚えた。とっても深い、裏の意味があるんじゃないか、と。でも、文章がすごくいい。おまけに絵もすばらしい。とりわけ色使いがとってもうまい。

そんなきっかけから手に取るようになったスタイグの本のうち、私はSylvester and the Maggic Pebbleが好きだけれど、エリックはDoctor De Sotoが何よりのお気に入り。ストーリーは腕利きのねずみの歯医者さん、Dr. De Sotoは小さな動物はもとより、大きな動物の場合は口の中に入って虫歯を治してくれるのだが、猫や危険な動物だけはお断り。

しかし、ある日、身なりのよい狐が痛みをこらえられず泣いている姿をみて、アシスタントの妻いわくLet’s risk itといって診てあげることにする。しかし、狐はわずかに葛藤しながらも、おいしそうなねずみのドクターを食べたくて仕方ない。しかし、麻酔をかけられて寝ていた狐の寝言How I love them raw… with just a pinch of salt, and a… dry…white wine.(生で食べるとおいしいだろうな、パッパッと塩を振りかけて、白ワインと一緒にね)を聞いて、夫婦で夜、話し合いをする。翌日には、きれいに治った狐の歯に接着剤をつけて「しばらく口は開きませんが、もうこれで虫歯になることはありませんからね!」といって狐を帰す。最後の文章、Doctor De Soto and his assistant had outfoxed the fox. They kissed each other and took the rest of the day offが最高にすばらしい。

このねずみの歯医者さんのキャラクターが何とも言えずいいのだ。食べられる危険があっても、一度治療を始めたら途中やめしないというプロフェッショナリズムに貫かれ、妻と協同してピンチを切り抜ける賢さを併せ持っている。エリックによると、ねずみや狐の表情が彼らの気持ちを非常によく表現していて、見ていて飽きないのだとか。さらに、狐がおいしい食事にありつける期待感からドクター・デソトが口に入っているときに一瞬口を閉じてJust a joke! といったのに対してBe seriousと叱責するところなど、ストーリーに豊かさとユーモアを加味している。こうした話し言葉をエリックは喜んでいて、ドクター・デソトが言っているように真似して使ったりもしている。

ストーリーはどちらかというとシンプルとはいえない。しかし、「ドクターは食べられるのだろうか」と思ってはらはらしながら読み進めていくうちに、プロットの複雑さを感じさせないほどすらりと読めてしまう。さらに、登場人物の表情や歯医者道具のしかけなど、細かいイラスト描写を見ているだけでも楽しめる。小さなねずみが大きな狐をぎゃふんと言わせるストーリーはあっぱれだし、紳士風に描かれている狐も、最後はすごすごと帰っていくシーンも気持ちがいい。エリックは自分で絵を見ながら笑っていることもある(子どもがひとりで本を開いている姿って、何て感動的なんだろう!)。動物が主人公というのが、エリックには何より好きみたいだし、大人も楽しめる楽しい本だと思う。



Saturday, September 25, 2010

The Terrible PLOP by Ursula Dubosarsky

Six little rabbits Down by the lake Munching on carrots and Chocolate cake…ではじまるこの本は、ストーリーがどうのこうの、というより、繰り返しが出てきてリズムがいいので、(私が)何度読んでもあきない本。
お話の本、というよりは、どちらかというとNursery rhymeとして読める。この英語のリズム感、やっぱり小さいうちから身につけてあげたい。

・・・「お話の本、というよりは、どちらかというと・・・」と書いてやっぱり迷った。
このストーリー、実はユング心理学でかみくだいてみると深い意味があるかもしれない。ストーリーをかいつまんで書いてみよう。

うさぎたちが湖のほとりで聞いた「ボトン」という大きな音に恐れをなして、そこから逃げていくのだけれど、その途中に森の動物たちに会って話すと、みんな大勢で逃げはじめる。最後に、大きなクマが「それなら見てみよう」というので、一番小さなうさぎと一緒に湖のほとりに行くことに。クマが上を見ている間に大きな「ボトン」の音がして、恐れをなしたクマはやっぱり逃げるのだけれど、一方で「ボトン」の正体を自分の目でしっかりと見たうさぎはそこに留まって、安心して食事を愉しむ。
この単純な話の裏には、「見えないものはこわい」でも「一度、それに向き合うことができれば恐怖は終わり、問題解決への道が開ける」、さらには「他人から言われたことを鵜呑みにすると、こうなる」という教訓が含まれていて、なかなか奥が深い。

夫の友人が悪夢の繰り返しに悩まされていたときのこと。その夢のなかではいつも背後に何か恐ろしいものがあって、それから逃げ回っていたのだけれど、ある日、意を決してその「恐ろしいもの」が何なのか見てみることにして眠りに落ちた。夢のなかでそれに初めて向かい合ったとき、彼はそれが何のか理解して、解決することができた、という話を聞いたことがある。

子どもの話や昔話って本当に奥が深い。ユング心理学に照らしてみると、人生の教訓が含まれていることが多い。エリックにはまだ早いからお話はしないけれど、私はこの本を読みながらいろいろと私の人生に対する態度についても省察したりして、なんだかいろいろ考えさせられている。

Monday, September 13, 2010

絵本批評--Pumpkin Soup by Helen Cooper

秋らしさを感じるこの本は、エリックが図書館で見つけた本。そんな本にはハズレも多いけれど、たまにはアタリもあって、この本は大アタリ!の類。

同じ家に住むネコとリスとアヒルは、家のまわりに植えてあるかぼちゃで仲良くパンプキン・スープを作っている。かぼちゃを切るのはネコの役目、おなべで煮るのがリスの役目、塩をひとつまみ入れるのがアヒルの役目、と役割分担がきちんと決まっている。でも、ある日、アヒルが「Today it’s my turn to stir the soup」と宣言したことから、けんかが始まって、怒ったアヒルは家を出ていく。すぐに帰ってくるだろうと思いきや、なかなか帰宅しないアヒルを心配しながら作ったパンプキン・スープは塩っ辛い味。その後、リスとネコがアヒルを探しに行くけれど探せず、落胆して帰ってきたふたりは帰ってきていたアヒルを見つけ、大喜び。おなかのすいた3人は、アヒルに混ぜる役目を託して、キッチンを汚しながらスープをつくる。やっぱり3人のつくったスープが最高!というわけでハッピーエンドかと思うと、また最後にひと悶着あって・・・、という終わり方。

何しろ秋色のシックな絵がとってもすてき。3人のおうちもとってもかわいいし、みんなでつくるスープも実においしそう。お話も非常にストレートで、結局のところ、ひとつの作業を協力してすることの大切さ、お互いの長所を認め合いながら、時にはCompromiseしあって協力してひとつのものを作ることのすばらしさが実によく描かれてある。登場人物が動物というところ、つくるものがスープであること、などは(動物好きで、食べることが好きな)エリックにはピッタリで、よく読んでほしいとせがまれる本のひとつ。
かぼちゃを切っていると「マミイ、今日はPumpkin soupつくってね」と言うので、最近、そういえば、かぼちゃの煮物やかぼちゃのグラタン、蒸し焼きなど作ってないなあ・・・。

Wednesday, February 17, 2010

Mommy Loves(Anne Gutman and Georg Hallensleben)


「あ、バニーあったね、かわいいね」と言いながら図書館でエリックが見つけてきた本。いつものように「またへんてこな本、見つけてきたわねえ…」ということにならなかった希少本のひとつ。All mommies love their babiesから始まって、さまざまな動物の親子がそれぞれ登場し、最後はBut most of all, my mommy loves me!で終わる簡単仕掛けの本なのだけど、何よりも絵がすばらしい。ビビッドな色使いと大胆不敵な構図に、私はもうメロメロ(エリックはどうか知らないけれど)。この本と出合って以来、George Hallenslebenは間違いなく私の大のお気に入りナンバーワンの絵本挿絵作家。あのKate Banksとも組んでさまざまな絵本を出していて、もちろんチェックしている。絵本の世界って本当に深いのね…。そうそう、ページが進むにつれベイビーの数が増えていくので、数をかぞえる練習にもなって一石二鳥。

Monday, January 11, 2010

The Mitten(Jan Brett)

ウクライナ系カナディアンの友人がプレゼントしてくれたウクライナの物語がベースの絵本。ニッキという男の子の落とした手袋になかに動物たちがあったまろうと入っていくのだけれど、最後に熊の「アーッチューン!」でみんなが飛んで、空に舞い上がった手袋を男の子が拾うという筋・・・。

最初に読んだとき、「手袋のなかにくまが入る、そんなのってありますか!」と思って夫に言うと、「そこは子どもの本だから、子どもはそんなことを訝ったりはしないもの」と言われた。何度も何度も読んでいるうちに、ストーリーの繰り返しにきっと子どもも安心感を感じるのだろうと思ったり、絵のなかに左右設えられた小さめパネルのストーリーにも目が行くようになって、「なかなか精巧にできているのね」と感心するようになった。

エリックもこの本が好きで、熊のくしゃみというクライマックスではみんなが飛んでるように手をひらひらさせたりして喜んでいる。絵のなかのウクライナ的な模様や服装なども興味深い。ちなみに、この本(英語)は私の即興日本語訳で読み聞かせている。繰り返し性があるストーリーなので、毎回、訳のズレも少なく、結構自分の日本語訳も気にいっている(って、それは余談ですな…)。

Monday, December 28, 2009

Harry,The Dirty Dog(Gene Zion, Margaret Bloy Graham)

「チャーミング」のひとこと! Goodnight Moonもそうだけれど、古典はやっぱりよいもの。1956年の初刊以来、版を重ねてきた北米の子ども絵本ロングセラー。文章のリズムが上出来なので、エリックに数回読んであげただけでいくつかの単語をすぐに覚え、こっちが驚いたほど。遊んで汚れるのが好きだけれど、おふろが大嫌いなハリーは黒いぶちのある白い犬。さんざん遊んでどろんこになって「白いぶちのある黒い犬」になってしまったハリーは、おうちに帰るのだけれど、家族のだれもそれがハリーだと分からない。困ったハリーは自分で庭に隠したブラシを探しだし、バスタブに入って、洗ってもらおうとする。そして、めでたし、めでたし、ハリーはまたもとの「黒いぶちのある白い犬」になって、おふろ嫌いも何とか解消されたというストーリー。お母さんがエプロンをしていたり、機関車からもくもく煙が出ていたり、お出かけしている人が帽子をきちんとかぶっていたりと、絵のなかに時代が見て取れるのも私にはほんのり楽しい。ハリーの続編としてオリジナルに加えて他に3作品がある。どれも逸品だけど、私の大のお気に入りはこのオリジナルとNo Roses for Harry!(また今度絵本評にアップします)。

ぐりとぐら (なかがわえりこ+おおむらゆりこ)

日本で子ども絵本の古典というとこれでしょう! ストーリーは、問題解決(どうやってたまごを運ぶか? その代替案は?)ののち、お料理という創造的作業を通して、森の動物たちとのカステラ共有という形で「幸せの分配」で終わるというすばらしい展開となっていて、まさに物語の醍醐味が楽しめる。おまけに最後にはクイズまであって(「さて、このからでぐりとぐらは何をしたと思いますか」)その答えが絵で示されているところも心憎い。なかがわりえこ+おおむらゆりこの作品のよさのひとつは、絵に描かれているものが自然のなかに存在する、木であったりたんぽぽであったり、切り株であったりきのこであったりすること。とりわけエリックは自然のものが好きだから、こうした絵を眺めているだけでたくさんの自然のものと触れ合えて楽しんでいる様子。エリックが「どんな夢を見た?」とか「何が食べたい?」と聞かれると、「たーまご!」と答えるのは、この本の影響に違いないと私は見ている・・・。

Saturday, October 17, 2009

おかしのくにのうさこちゃん(ディック・ブルーナ)

お馴染み「うさこちゃん」シリーズ。日本語訳はリズミカルでやわらかくて問題ないんだけれど、Eがもう少し大きくなってからじゃないと読ませたくない本。というのも、いろいろと出てくるおかし(ケーキ、アイスクリーム、チョコレート、ドロップ、ジュース)は、まだ2歳のエリックには食べさせていないものばかり。それだけが理由で、もう少し成長を待って読ませる方がいいと思って、今のところは高い本棚の上段にしまいこんでます・・・。

くまのがっこう(あいはらひろゆき)


絵がかわいいので中を見ずにオンラインで買った失敗の本。いろいろと言いたいことはあるが、まず何より、12人のくまの子たちの名前がすべて英語名とドイツ名の混合であること。日本語で書かれた本なので日本名でいいと思うんだけど・・・。描かれている舞台(学校/寄宿舎)も日本と海外が混ざっているような感じを受けて(あるいは日本のミッション系スクール?)、何となく腑に落ちない私。さらには最初にこの名前にカタカナがふってあって(Dickyディッキー)、それをカタカナ読みするのも??と思ってしまう。なかには安野光雅を思わせる色使いのきれいなイラストもあって、嫌いじゃないんだけれど、海外で日本語を教えようと読む本としては失敗だったかも。

Monday, September 21, 2009

Goodnight Moon(Margaret Wise Brown)

1947年に出版されたMargaret Wise Brown/マーガレット・ワイズ・ブラウンのクラシック。図書館で借りてきて、離せなくなってしまったので本屋さんで買ってきたほどのお気に入り。眠る前にこの本を読むのが習慣になっていて、Eもこの本を持ってくると反射的にあくびをしたりする。

絵本を読むようになって分かったことだが、本当にすばらしい絵本というのは何度読んでもあきないもの(子どもはもちろん、大人も!)で、Goodnight Moonは明らかにそのクライテリアを満たしている。もう1年にもなるが、私も毎晩楽しく読んでいる。

ストーリーというより、バニーが部屋のなかのものにひとつずつ「おやすみ」と言っていくだけなのだが、「And two little kittens And a pair of mittens」とか「And a little toyhouse And a young mouse」など、韻が踏んであるので読みやすいし、子どもにとっても詩を覚えやすい。

さらに、この絵本の面白さは、Clement Hurdの赤と緑を多用した独特な絵にもある。エリックはカラーページのなかの「Little mouse」を探すのが好きで、今では私より早く探して喜んでいる。さらには、ページが進むにしたがって時計の針がどんどん動いている事実にも気付かれるだろう(エリックにはまだちょっと早いのでおあずけ)。他にもページごとに本棚の本が違っていたり、月が移動していたり・・・、そんな細部を見ていくと、実に実に毎晩読んでも飽きない本なのである。

日本語訳も出ていると聞く。どんなふうに英語の韻を日本語に置き換えているのだろうか。非常に気になるところである。