Monday, November 7, 2011

Doctor De Soto by William Steig

Doctor De Soto


偶然、本屋さんで見つけて読んだAmazing Boneのストーリーラインには奇妙な感じを覚えた。とっても深い、裏の意味があるんじゃないか、と。でも、文章がすごくいい。おまけに絵もすばらしい。とりわけ色使いがとってもうまい。

そんなきっかけから手に取るようになったスタイグの本のうち、私はSylvester and the Maggic Pebbleが好きだけれど、エリックはDoctor De Sotoが何よりのお気に入り。ストーリーは腕利きのねずみの歯医者さん、Dr. De Sotoは小さな動物はもとより、大きな動物の場合は口の中に入って虫歯を治してくれるのだが、猫や危険な動物だけはお断り。

しかし、ある日、身なりのよい狐が痛みをこらえられず泣いている姿をみて、アシスタントの妻いわくLet’s risk itといって診てあげることにする。しかし、狐はわずかに葛藤しながらも、おいしそうなねずみのドクターを食べたくて仕方ない。しかし、麻酔をかけられて寝ていた狐の寝言How I love them raw… with just a pinch of salt, and a… dry…white wine.(生で食べるとおいしいだろうな、パッパッと塩を振りかけて、白ワインと一緒にね)を聞いて、夫婦で夜、話し合いをする。翌日には、きれいに治った狐の歯に接着剤をつけて「しばらく口は開きませんが、もうこれで虫歯になることはありませんからね!」といって狐を帰す。最後の文章、Doctor De Soto and his assistant had outfoxed the fox. They kissed each other and took the rest of the day offが最高にすばらしい。

このねずみの歯医者さんのキャラクターが何とも言えずいいのだ。食べられる危険があっても、一度治療を始めたら途中やめしないというプロフェッショナリズムに貫かれ、妻と協同してピンチを切り抜ける賢さを併せ持っている。エリックによると、ねずみや狐の表情が彼らの気持ちを非常によく表現していて、見ていて飽きないのだとか。さらに、狐がおいしい食事にありつける期待感からドクター・デソトが口に入っているときに一瞬口を閉じてJust a joke! といったのに対してBe seriousと叱責するところなど、ストーリーに豊かさとユーモアを加味している。こうした話し言葉をエリックは喜んでいて、ドクター・デソトが言っているように真似して使ったりもしている。

ストーリーはどちらかというとシンプルとはいえない。しかし、「ドクターは食べられるのだろうか」と思ってはらはらしながら読み進めていくうちに、プロットの複雑さを感じさせないほどすらりと読めてしまう。さらに、登場人物の表情や歯医者道具のしかけなど、細かいイラスト描写を見ているだけでも楽しめる。小さなねずみが大きな狐をぎゃふんと言わせるストーリーはあっぱれだし、紳士風に描かれている狐も、最後はすごすごと帰っていくシーンも気持ちがいい。エリックは自分で絵を見ながら笑っていることもある(子どもがひとりで本を開いている姿って、何て感動的なんだろう!)。動物が主人公というのが、エリックには何より好きみたいだし、大人も楽しめる楽しい本だと思う。



No comments:

Post a Comment