Sunday, March 25, 2012

日本の保育園って・・・

帰国してすぐにやらなくてはならなかったことのひとつはエリックの保育園探し。アパートを探しに行ったその帰りにはすぐに近所の保育園を2,3軒まわってみた。

 
ところで、そのころ日本の育児環境にまったく無知であった私には、「保育園」と「幼稚園」の差すらわからなかったのだが、アポイントもとらず市役所の保険福祉局子育て支援部にお邪魔してお話を聞いたり(お茶まで出していただいた)、保育園や幼稚園で的外れな質問をするうちに、いろいろとわかってきた。

 
  • 「保育園」は、京都市の各区役所の福祉事務所が管轄。大半が民間経営であり、市営は数が少ない。一方で「幼稚園」は私立で、社団法人京都市私立幼稚園協会に加盟している
  • 「保育園」に入るには諸々の条件をクリアしていなくてはならず、市の福祉事務所に申請書を出し、審査にとおらなくてはならない
  • 保育園も幼稚園もカソリック系のところが案外とあるのだが、別にカソリックでなくても入園はできる
  • 保育費用は、親の前年度の所得によって決まる
  • 時間は保育園の方が長く(最長で7時半から6時)、幼稚園は昼間約5時間とフルタイムで働く親には無理

・・・というわけで、私がフルタイムで働くことになっているので、エリックは保育園に預けることになる。ただ、今の時点では、幼稚園と保育園でカリキュラムの内容などがどう違っているのかは不明(東京に住む妹によれば、「お勉強させようと思ったら幼稚園。保育園は遊ばせてくれるところ」らしいが、これは主観的な意見だろうね・・・)。

 

さて、2,3軒、保育園をまわってみて、正直言って私、びっくりした。どこの保育園でも、子どもたちが非常にワイルドに走り回っているのだ。若い先生たちもいっしょになって(体を張って?)走り回っている。そう、その姿を見ながら、「ワイルド」という言葉が私の頭をグルグル駆け巡っていた。

 

おまけに、夫に向かってある子どもが「あんた、だれ?」と言うのを(日本人ではないからだろう)、先生たちは笑って見ているだけ・・・。私、つい「そういう言い方はしないのよ!」と言ってしまった。そのあと、別の場面で男の先生が園児に向かって「おい、おまえ、さっき言ったやろ?」と笑いながら言っているのを見て、これまた驚いた。こんな言葉を先生が子どもに使うとは!

 

トロントの幼稚園しか知らない私には、驚くべきカルチャーショック!

 

トロントのKindergartenでは、毎日、子どもたちはいろんなことを学んでいた。大きくわけると、図書館(読書、読み聞かせ)、音楽、運動、コンピュータなどが、それぞれ1日のメイン・スケジュールになっていた。私が見た感じでは、「お遊び」というより、しっかりとした「教育」がなされていた。悪い言葉遣いはその場で直されるし、必ず「Please」と言うように教えられる。混沌たる状況ではなく、先生がやはり高い立場にいてDisciplineがしっかりとなされていた。先生は子どもに対してはひとりの人間として扱い、頭ごなしに何かをしかりつける、というやり方はしてなかった。デイケアですらそれは同じだった。

 

一方、日本の幼稚園は「先生の情熱」みたいなのが何より大切にされているような気がした。先生が「自分の見ている子どもが好き!」という態度を持っていれば、あとは何がどうあってもよい、というような・・・。細かいことは言わずに、愛情をもっておおらかに育てる、ということが非常に重要視されているというような・・・。違うかな? 

 

トロント市では、それぞれのkindergartenはトロント市教育委員会が管轄しているため、先生たちはしっかりと市教育委員会のカリキュラムに従って教育目的を設定したうえで子どもたちの活動を選んでいる。自らの政治遺産として教育改革を残したいと切望しているマギンティ(オンタリオ)州首相にとって、数年前から取り組んできたオールデイ・キンダーガーデン(小学校と同じ時間帯で)は肝心要の政策に違いなく、2013年にはすべての学校でオールデイ・キンダーガーデンが実施される見込みになっている。

 

この背景には、従来、「親が子どもを預けるところ」とみなされてきた幼稚園を、「生涯続いていく教育の初歩的基盤」と見直す風潮がある。カナダでは幼児教育研究者や教育専門家、政府関係者などが、こぞって(明らかに世界では最先端)北欧モデルの教育システムを注視しており、最近の研究でも、早期幼児教育の重要性(学力や生活力への影響など)が次々と証明されている。なかでもLiberal党は、国民全体の教育水準を高めるための施策として、早期幼児教育に非常な期待を寄せている(ように私には見える)。

 

先にも述べたが、トロントではエリックの幼稚園では、子どもたちはすでに4歳からコンピュータを触っている。簡単な数字ゲームをするような感じだが、それでもそこには教育におけるコンピュータ・リテラシーの重要性への気付きがある。そこには「どのような国を目指すのか」に対するカナダ政府のしっかりした答えがあり、「オールデイ・キンダーガーデン」は、それを達成するための施策であるのだ。

 

「先生たちの情熱」、「愛情をもって育てる」、「体を張って子どもに向き合う」・・・、確かに結構である。でも、私にはこれだけあればすべて何とかなるような幼児教育環境で育ってきた子どもたちが、小学生のうちはまだいいが、中学・高校と進学して大人を含め他者とのあいだに大きな問題に直面する可能性があるのは明らかだ、という気がする。

 

さて、話が長くなったが、いくつか保育園をまわってみて、こんなことをあれこれ考えながら、正直言って「日本の幼児教育は遅れている」という印象を受けた。それは政府が幼児教育の重要性を認識していない、子どもたちを将来、国を担っていく国民に育てるための責任を認識していない、そのため、組織的に対応ができていないことが根本にあると思うし、政府の無策が批判されもしない状況がちょっと理解できない。

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