Monday, August 29, 2011

家庭と学校での使用言語が違う場合のバイリンガル育児

何度も登場してもらっているサニー(現在3歳7ヶ月)は、家ではマンダリン(標準中国語)を使っている。2歳半でデイケアに初めてきたときは英語をひとことも話さなかった。しかし、一年たった今、サニーはデイケアでは英語を話し、家族とはマンダリンを話す完全なバイリンガルへと成長している。サニーの英語は、少しスローで1センテンス話すのに時間がかかる。しかし、発音はほぼ完璧(RとLが少し混合している。Hの音が少し強い)で、言い回しも英語の自然な表現が使える。

周囲を見ると、サニーのように家庭の使用言語と学校の使用言語が別の場合が、もっともバイリンガルのレベルが高いように思われる。もう少し詳しく言えば、家庭の使用言語が100%非主要言語である場合に、ということであって、我が家のように70%英語、30%日本語という場合(つまり、母親と父親の言語が違う場合)はいささかレベルが低いように思われる(断っておくが、これは私の観察に基づいた印象であって、学術的なデータをもとにしているわけではない)。

我が家のような家庭の使用言語が2言語である場合、ある程度までは自然に2言語を習得するだろうと思う。「ある程度」というのは、日常会話に差し支えない程度で、読んだり書いたり、さらに高度な文章を読んだり書いたりするレベルではない。そうなるためには、外部(学校)の使用言語ではない言語を教える親(我が家では私!)の相当な努力が要求されるというのが、今のところ私の感じである。

エリックに比べると、サニーはバランスよくバイリンガルで育っていると思う。切り替えも自由自在だし、今は英語の語彙の方が少ないけれど、これからどんどん英語もマンダリンと同じレベルにまで増えていくだろう。そして、その後、どうなっていくのだろうか? 

エリックの場合、英語が第一言語になっていて、日本語は語彙に関しても洗練された構文という意味でもかなり劣っている。たとえば、今、ポンと日本語100%環境に入れるとこっちの方がどんどん追いついていくのだろうという気がする。とにかく、エリックや周りの子を見ていると、3、4歳の子どもの言語習得能力は驚異的だ。

何よりも、私たちバイリンガル育児をしている親が最も望んでいるのは、2言語に関して同等レベルで発達し、どちらの言語でも同じ学齢期の子どもの標準はクリアしているレベルで習得してくれることではなかろうか。私にとっては、英語は、英語を母国語とするお友達と同じレベル、さらに日本語も英語と同等のレベル、ということだろう。私の場合、バイリンガルとはいえ、やはり母国語である日本語の方がレベルが高く、このギャップというのは本人にしか気付かないけれど、些細なところで明白に表れてきて、不便だと案じることがよくある。

というわけで、バランスのとれたバイリンガル。
これが今のところ、私のバイリンガル育児の目標である。
(目標は高く!)

2 comments:

  1. こんにちは。
    先日,カルガリーで日系会主催の夏祭りがありました。
    司会の女の子は流暢に日本語と英語を操り,柔道や剣道のデモンストレーションでは形の説明までこなしていました!
    彼女のお母さんは,
    『バイリンガルやって司会に引っ張り出されるけど,聞いてはる人は日本語わかる人より英語わかる人のほうが多いから,結局英語でばっかりしゃべってんねーん!バイリンガルの意味ないやーん(笑)』
    と仰っていましたが,…いえいえ,すごいことですよ!?
    彼女がどんな環境で育ったのか詳しくは知りませんが,きっと家族みんなで頑張ってこられたんだと思います。
    明るく笑い飛ばしているお母さん,とってもステキでした♪
    バランス型バイリンガルへの道は長丁場ですが,頑張ってください!応援しています!

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  2. 励ましのお言葉、ありがとうございます! バイリンガルで司会をこなしていた女の子、実にロールモデルです!
    バランスのとれたバイリンガルを目指す理由として、もうひとつ挙げられるのはIdentityやConfidenceの問題です。最近、エリックは自分がCanadianだと感じているようで、「お寿司が好きだね、やっぱり日本人ね」と他の人に言われると必死でNo, I'm not Japanese, I'm Canadianと言ったりしています。このあたりのIdentityはこれからもどんどん変化すると思うので、観察を続けていきたいと思っています。

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