Sunday, June 5, 2011

「日本語を話さない」に対する取り組み(Feb)

bits Magazineへこれまで掲載してきた「バイリンガルで育てる」コラムは、打ち切りとさせてもらいました。編集部から私の記事への内容にクレームが来たこと、感情的な攻撃をされたことが原因でした。とはいっても、私のバイリンガル育児が終わったわけではないので、今後はこのブログにてコラムを続ける予定です。
以下は、バックナンバーです。

思えば、このコラムは私のバイリンガル育児にとって、過去1ヶ月の報告書のようなものである。今回ももちろん、ここ数ヶ月「日本語を話さない」問題への取り組みに関する報告書。
まず、エリックの日本語は明らかに少しずつ戻ってきている。日常的に使う文章、簡単な文章なら日本語を使う頻度が増えたと同時に、コード・ミクシングが圧倒的に増えている。コード・ミクシング(Language mixing, Code mixing)は、2言語以上の環境で育っている子どもに見られる現象で、複数言語を混ぜて使うことを意味する。

3歳になったころは、
- I need そっちのやつ。Mommy とってplease.
のような感じだったが、現在では複雑な英語の文章に日本語が混入する形になっている。たとえばこんな感じ・・・。

「おっきい木の上にね、エリちゃんのおうちがあって・・・、There was a big Christmas tree in the house. Then りすちゃん came to visit me. りすちゃんが来て、いっしょにクリスマス・ツリーを見て・・・We had Christmas dinner together いっしょに・・・ (私:何食べたの?)うーんっと・・・チキンとRice あ、それでWe drink (sic) wine, Eric and りすちゃん。We had a lot of fun. たのしかったよ。After that, we watched the nice Christmas tree together ピカピカしてたの。 それからりすちゃんsaid bye-bye, and 帰って行ったの・・・。はい、おしまい。This is a nice dream. マミー、この夢、好き?」

コード・ミクシングはよくないと言われるけれど、片方の言語を補う形で使われる場合には、一時的なものらしいし、とにかく文章そのものがまったく英語だった12月に比べれば、日本語が入ってきているこの傾向を、私は無論、歓迎している。

さて、この1ヶ月間、私からどんな働きかけをしたかというと、まず、カレッジを休んでみた。結局、私と話をする時間が減っていることが(日本語話者は周囲に私だけ)大きな問題なのだ。同時に、ついつい物思いにふけりがちな私も、エリックといるときはできるだけ話をし、いつもの「なんで?」にもきちんと答えるよう心がけてきた。

もうひとつ、私が思いついた方法は、「おはなし」をたくさんしてあげること。雪が降れば「雪のゆきこちゃんのはなし」を、エリックが日常的に使っているもの(ラクーンぬいぐるみやペンギン・カップ)の「由来のおはなし」やら、何でもかんでも「おはなし」に仕立てて実にベラベラとでたらめな話をしてあげるのだ。エリックは実にこの「おはなし」の魔術にひき込まれたのか、すぐに「ここのクネクネ道のおはなし!」と催促するようになり、自分でも似たようなおはなしを繰り返してみようとすることもある。
さらに、故意にエリックの知らない言葉を使って、「それ何のこと?」と聞かれるのを待つ、という方法も使っている。気のせいかもしれないが、「偶然に」とか「道草・寄り道」などの知らない言葉が出てくると、気になるのか注意を向けるように思われる。

以上はほんの一例に過ぎないのだけれど、こうした実験的な試みを経て思うに、やはり英語が大半になったエリックだけれど、彼の頭のなかから日本語が消えているわけではない、ということ。せっかくこれまで育んだ日本語の火を消さないように・・・、ということで、さて、これからも実験は続きます・・・。

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