Wednesday, March 2, 2011

コニー

デイケアのスタッフにコニーという女性がいる。エリックはデイケアのスタッフはみんな好きだけれど、とりわけ会話のなかにコニーの名前がよく出てくる。

夫に言わせれば、コニーは“Crazy Aunt energy”の持ち主らしい。ときどき、こういうちょっと変わったAuntieがいたりして、子どもたちはそのAuntieのことが大好きなのだ。自分では結婚もせず、子どももいないけれど、子どもが大好き。次々と子どもたちが喜ぶようなゲームや遊びを考えては、子どもたちといっしょになって夢中で遊んでいる・・・。最初はピンとこなかった私も、今はその言葉に深くうなづくようになった。

多分、コニーの何が特別かといえば、彼女の自意識のなさだと私は勝手に思っている。いちど、エリックを迎えに行った私は、アフリカンな音楽を流して、子どものことなどすっかり忘れたかのように踊りにスカーフを振りながら100%専心している彼女の姿を見て何ともおかしくなった。子どもたちはそれでもお構いなく、コニーのくねくね踊りの真似をして彼女のまわりを飛んだり跳ねたりしている。音楽が終わると、やっとはっと我に返ってWhere am I?といった感じでまわりを見渡していたの姿が私の目に焼きついている。

また、彼女は自然が大好きで、毎朝、自転車に乗ってデイケアまで通っている。まつぼっくりやらどんぐりやら、木の葉っぱやら、ありとあらゆる自然のものを拾ってきては、子どもたちとシェアするのが好きなので、このあたりでエリックと波長が合うのだと思う。デイケアの一角は、「Connie’s Nature Table」となっていて、コニーはそこで子どもたちと自然のものを眺めたり観察したりするのが大好きである。

さらに、いつも新しいゲームやあそびを考えるのはコニーの役目。子どもたち向けのヨガを取り入れたり、世界中の面白い楽器を見せたり、クラフトにおけるクリエイティビティには目を見張るものがある。

そんなコニーを子どもたちが好きにならないわけがない。子どもたちはいつも「見て、見て、コニー!」「コニー、こっちに来てこれを手伝って!」と言って彼女になついている。12月に数週間という話で、コニーが別のデイケアに移動になったとき、みんな彼女の帰ってくる日を心待ちにしていた。エリックも朝になるとよく「きょうはコニーが帰ってくる日?」と聞いていた。そして、コニーが戻ってきた日、子どもたちがみんなコニーに抱きついてI missed you!!と言っているなか、私も同じようにやってコニーの帰りを喜んだ。あんなにコニーを待っていたエリックははずかしくて私の影に隠れていたけれど・・・。

ところで、こう書いていてふと思ったのだが、コニーのような保母さんって日本ではちょっと稀なような気がする。というか、あんな感じで「自意識に欠ける人」(よい意味で。周りのことがまったく見えてない、というわけでなく、自分がどんなふうに見られているかまったく関心がなく、自分の判断基準がしっかりあるから、他人からの判断もあまり気にしない人)が存在する保育園や幼稚園ってのが私には想像できない。

You are so special!とある日、私が言うと、コニーはOh, I believe everyone is very, very special. That’s why this world is so special… と言って自分の幼児教育に対する情熱や信念をしばらく私に熱く語ってくれた。子どもには小さいころから多様性を見せてあげておきたい私としては、コニーがエリックのデイケアにいてくれてよかったとつくづく思うのであった。

2 comments:

  1. 保育士の鏡だね!

    元ECE(Early Childhood Education)の学生から一言なんだけど、デイケアのスタッフ=Early Childhood Educator(略してこちらもECE)なんだけど、北米での社会における地位が低かったがために、ECEという呼び名を使いだした感があります(学生の時に読んだテキストから)・・・。ご協力おねがいします。

    男女共同参画なので、保母は保育士で。(笑)

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  2. コメントありがとう。ECEね。今後はそう呼びます。
    エリックはそういえば話をするときはTeacherと言ってるから、学校ではTeacherって呼んでるのでしょうね。ECEのお仕事は大変そうなのに、ほんと、みんな気を抜くことなく子どもたちに接している姿を見て、心打たれます・・・。

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