Thursday, July 1, 2010

bits連載コラム 第7回 バイリンガルの利点

バイリンガルであることの利点は、欠点に比べるとはるかに多い。
「バイリンガルの利点」というと、より多くの人と友達になれる、より多様な情報にアクセスできる、教育や就職の幅が広がる、その結果としての経済的な利点・・・などが簡単に思い浮かぶ。しかし、それ以上にすばらしい利点がある、ということを、バイリンガリズムに関する本を読むうちに知った。

マギル大学(モントリオール)のFred Geneseeの研究によれば、モノリンガル(一言語話者)に比べると、二言語を流暢に操る子どもたちは・・・、
· 問題解決能力にすぐれている
· より自由な発想力や想像力をそなえている
· 他者に対する寛容な態度をもっている

・・・というケースが多いという。
バイリンガル教育の専門家Colin Bakerの本のなかに、その理由が書かれていた。彼が言うには、英語のKitchenとフランス語のCuisineはともに同じ名称をさす言葉だが、ふたつの単語は含有する意味の幅に違いがある。具体的には、Kitchenは料理をする場所、Cuisineはそれから広がって想像力を発揮する場所、といったより広い意義が加わっているらしい。そして、これらふたつの言葉を知っているバイリンガル話者は、モノリンガルに比べると、単語とそれが指す意味のあいだにはより柔軟な関連性があることを本能的に知っているため、固定観念や概念にしばられたりする傾向が少なく、より柔軟な考え方ができるということだ。

もちろん、モノリンガルがこうした特長を備えられないわけではない。モノリンガルであってもすばらしい問題解決能力や発想力をもつ人たちは大勢いる。それは忘れないようにしなくてはならない点だが、二言語を習得する過程でこれらの能力が開発・訓練されるという研究結果は、私には目からうろこだった。こうした点は、就職の幅が広がったり、経済的メリットがあったりする以上にはるかに魅力的な利点ではないか。

子どもが生まれてから、どんな人間に育ってほしいのか幾度も考えてきた。子どものなかに何らかの手がかりが見られたわけではないのに、幼児のころからヴァイオリンやピアノ、英語やアート教室などに連れていくようなやり方は親も子も大変だろうなと思う。子どもの脳の80%は6歳までに完成するといわれるけれど、だからといってそれまでにすべてのことを学ばせるのは無理だし、脳だけが成長すればそれで人間幸せかと問えばそんなことは決してない。

何かに直結するわけではないけれど、人として常に成長しようとする態度を育てる、そんなことこそ大切であると思っている私にとっては、バイリンガルで育てることの効用はすばらしく感動的だった。私の育児感にしっくりくるバイリンガル教育は、その後の我が家の基本的育児方針となった。

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