Thursday, July 30, 2009

英語教育を始める時期


そういえば、妹の子どもがまだ小さかったとき、彼女が私に聞いたことがある。
「英語を学ばせようと思ったら、いつ始めるのがいいと思う?」
そのときどう答えたか覚えていないほど無責任なことを言ったのだと思うが、それもそのはず、子どものいない当時の私は、漠然と「言語の基礎ができる5歳か6歳ごろが、言語習得には最適な時期」だと思っていた。エリックを観察している今、同じように質問されたら、どう答えるだろう?

ズバリ、私の経験から言うと…
-- 読み書きならかなり後になってからでもかなり高度に習得できる
-- 正確な発音を習得しようと思えば、早ければ早いほどよい

と思う。

まず、読み書きに関してだが、私自身、読み書き能力に関しては自信をもっている。これはひとつは英語を教えていた背景から、文法や構文生成に精通したこと、さらにはもともと文字が好きであるということが大きく影響していると思う。遅くから文法を学んだり、本を読み始めたりしたことは何ら障害になっているとは思えない。

次に問題の発音…。これまで何度となく書いてきたが、今もってLとRの発音には苦労している。ふたつの文字が混在するLibraryやReliable、Realm、Relishという言葉は、なんとか別の単語を使って済ませようとするほど大嫌い。典型的な日本人英語学習者である私は、中学校で始めて英語に出会った(今の世代はちょっと違うかも知れないけれど)。その時点でLとRなど日本語にない発音を学んだわけで、それを正確に発音しようとするのはかなり難しい。

赤ちゃんは、周りが話しかけるのを聞くことで、特定の言語の構造を脳に刻み込んでゆく。つまり、言語が違えば、脳に刻み込まれる構造は異なるわけである。たとえば、日本語を話しかけられる赤ちゃんは、月齢6ヶ月ではRとLの発音の違いが聞き分けられるが、12ヶ月になるとすでに違いが分からなくなるという。12ヶ月までには、日本語の言語構造においてはRとLの発音は使われないため、赤ちゃんの脳では自然とその区別が無視されるわけである。(Get Set For Lifeマガジンの記事How Does the Brain Get Wired?を参考)

とはいえ、だからといって、6ヶ月までに英語の発音を聞かされていない赤ちゃんは、正確な英語の発音が不可能なのかというとそういうわけではない。3歳で、あるいは5,6歳でカナダに来て、かなり正確な発音ができる子どもたちを個人的に知っている。そのころだって、脳は活発に開発途上にあるわけで、6ヶ月を過ぎると開発可能性が突然シャットアウトされるなんてことはありえないのだ。なので、悲観的になることもないが、やはり発音に関しては早ければ早いほどよいのだと、自らの経験をもとに言っておこう。ただし、それでも発音矯正などで正確な発音を習得することは不可能ではないし、なかに優れた言語習得能力をもっている人たちも存在することもついでに付け加えておこう。

No comments:

Post a Comment