Saturday, December 18, 2010

3歳6ヶ月:日本語を話さないときの対応(bits Magazine連載コラム)

前回、「英語がみるみるうちに伸びている」というエピソードを書いたが、それから1ヶ月経った今はというと「会話のほとんどが英語になっている」という感じで、パーセンテージで言うと「英語98%、日本語2%」という、非常に憂慮すべき状況に陥っている! 

私に対しても英語を使うようになり、私たちの会話は私(日本語)、E(英語)という顛末で、「マミーには日本語で話してね」にも"I don’t know how to do it"とか"I’m teaching you English”などと言って私を困らせる。

さて、こんなとき、親はどう対応すべきか。

エリックのデイケアのスタッフ・クリスティーナは「そういう場合は、ぜったいに話をしないことよ。日本語で話してくるまで話さないということを伝えて、英語は拒否すべき」と言う。以前、2言語で育てている人にも「あなたが英語を理解しないと信じさせるべき。そうでなければ、英語の方が楽だからすぐに英語に流れてしまうのは当然」というようなことを言われたことがある。

こうやって忍耐強く「英語を拒絶して、日本語を強要する」メソッド、私もそれがいいんだろうということは分かっていても、実際にはそれでは事が運ばないので、英語で言われると「マミーには日本語で話してね」と前置きをした上で日本語で対応する、という方法で今のところ対処しているが、本当のところ、これでいいのか気持ちが定まらない。

子どもは覚えるのも早いが、忘れるのもあっという間。今ここで日本語をやめてしまったら、瞬く間に日本語を忘れてしまうだろう。

英語が話せるようになったエリックは、今、非常に楽しそうに見える。3ヶ月前にデイケアに行き始めたころはほとんど話をしなかったのに、今やスタッフや友達に自分から話かけていると聞く。以前のシャイなエリックが、(英語だと)おしゃべりでユーモラスな子になっている。コミュニケーションをとれるようになった変化は親としてはうれしいし、彼にとっては英語の方がより有用性が高いわけで、エリックが英語に流れる気持ちはよく理解できる。

もうひとつ、家族のなかで私ひとり日本語で話している状態に、蚊帳の外に置かれているような気持ちになることも私の心を揺さぶっている。「日本語でね!」とあまり強く言い続けると、エリックはすっと私から離れていき、夫のところへ行くこともある。そんなときには、悲しいかな、ちょっぴり孤立感を感じてしまう。

以前は、英語環境にいながらもエリックとふたり日本語を話しながら自分たちがバブルのなかに守られているような気がしたものだ。そのバブルはあっけなくはじけて、今、もといた場所を振り向きもせず外へと向かって駆け出したエリックを眺めながら、私はひとり、軽い喪失感を感じている。

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