Wednesday, August 26, 2009

Child –Directed Speech

エリックに話しかけるときの私は、自分の話しかけ方が普段、大人同士で会話しているのとは違うことに前から気付いていた。できるだけ簡単に説明したり、概念的な言葉を避けたり、同じ節を繰り返したり、しっかり目を見て話したり…、ということを意識的にやっているのだ。

たとえば、お遊びが高じて興奮したエリックが私の腕を叩こうとしたところ、「そうすると、マミーがいたいいたいってなるでしょ。エリちゃんもいたいいたいになるのはいやでしょ。マミーだっていたいいたいのはいやなの。だから、叩いたりしないの」と言った私。「暴力を振るってはいけません」とひと言で済むところを…。

考えてみれば、私が無意識のうちにエリックとの会話で伝えようとしていることのひとつは、できるだけ「原因―結果」の関係がわかるように説明することだと思う。こうすれば、こうなる、ということを伝えるのは、「法律で禁じられている」とか「いけません」よりもエリックにはわかりやすいと思う。さらに言えば、それを自分の身に置き換えて考えられる説明の仕方も大切だと思う。「マミーがいたいいたいになる」に加え、「エリックもいたいいたいになるのはいやでしょ」と言えば、納得の仕方が違ってくる。私はこの言い方で、エリックが動物や植物を大切に扱うように導いているが、実際、この方法は効を奏していて、ものを大切に扱うことは彼の長所のひとつになっている。

言語学で言われるChild-Directed Speechとは、子どもに誘導される話法のことであって、私たちは子どもに対するとき、無意識のうちに彼らのレベルにあわせた会話に組成しなおして語りかけているという自然な話法のことである。

子どもに誘導される話法の例とは…
  ゆっくりと話す
  簡単な語彙の使用(短くてすっきりした文章)
  文章の前で一呼吸置くのを避ける
  イントネーションの誇張と高い声音
  繰り返し 
(参考文献The Foundation of Dual Language Instruction by Edith Lessow-Hurley)

私の個人的経験からいくつか付け加えるなら…
  原因―結果を伝える(例:こうするとこうなる、だからこうしてはいけない)
  自分の身に置き換えさせて実感させる
  大切なメッセージは、必ず目を見て伝える(子どもの目線に降りて説明する)
ということも重要だと思う。言葉を教えるなかで、コミュニケーションの基本となる他者とのつながり方も教えておきたい。

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