11月。この時期になるとflu shot(インフルエンザ予防接種)をどうするか、という問題に直面する。avian flu (H1N1 flu) の猛威が警告されていた2009年には、私と夫は長い議論と時間の末、苦渋に満ちた決断をした(夫と私は受けなかった)。現実は、あれだけ専門家や北米の公共保健機関などの恐ろしくリアルな警告に反して、インフルエンザはほとんど蔓延しなかった。それを、「それはあの広告活動によって大多数がフルー・ショットを受けた結果」と見るか、不必要なハイプだったと見るかは人によって大きく違ってくる。
昨日、エリックのキンダーガーデンで聞いてみると、「学校側はフルー・ショットを各生徒が受けるよう義務づけてはいないが、大いに推奨している」という答えが返ってきた。トロントではキンダーガーデンといえども市の教育委員会のもとに設置されていることを考えれば、いささかこの答えは驚きだった。
日本のように学校でインフルエンザの集団予防接種をする、というのはカナダでは考えられない。これは親の(あるいは個人の)選択の自由が非常に重要とされているからなのだろう。加えて、市民のインフルエンザの予防接種に対する認識の違いがある。
インフルエンザは毎年、少しずつ違ったstrain(種類)が出回るわけで、ワクチンというのは専門家が、今年はこういうのが勢いを増すだろう、という推測をもとに薬品会社によって培養され大量生産される。なので、効果は完璧ではなく、これを打っておけばフルーにかからない、というわけではない。
おまけに、副作用も随所で指摘されている。頭痛や喉の痛み、疲労感などのほか、とりわけアレルギー体質の子どもや高齢者に対する副作用は、命にかかわるものもある。ワクチンは一様でも、それを受ける人の体質は多様で、アレルギーを持つ人、呼吸器官の弱い人などもいるので、それを考慮することなく、日本のように一斉注射、というのは今考えると本当に恐ろしい(あの当時は私、何も考えてなかったけれど)。
予防接種の問題は、結局のところパブリック・ヘルス(公共健康)と個人の選択の自由という権利との問題ということになる。トロント市保健局では、市民に無料で予防接種を提供している。もちろん、パブリック・ヘルス(公共健康)に責任あるお役所だから、みんなに受けてもらった方がいいのである。しかし、一方、副作用の可能性も指摘されている子どもに対する予防接種をどうするか、という選択は親の手にあるべきものであり(自由な選択の権利)、そのあたりの対立ともいえて個人的に興味深い問題だと思っている。
今年は大してインフルエンザの脅威も予測されていないし、エリックには予防接種をしないことにした。そのかわり、
・栄養のバランスのとれた食事をすること
・睡眠をたっぷりとること
・手をひんぱんに洗い(1日20回と言われて驚いたが、そのくらいしないとダメなのだろうか?)、うがいをすること
・ビタミンC、Dのサプリメントをとること
を習慣づけ、ちょっとくらいの風邪なら免疫をつけるための訓練と思っておこう。
No comments:
Post a Comment