Saturday, July 24, 2010

bits連載コラム第8回 絵本の読み聞かせに関するあれこれ

日本でばあばに買ってもらったカード・セットは、2枚の絵をあわせてひとつの乗り物の絵(たとえば「ふね」)をつくるもの。裏にはそれぞれ日本語(ふね)、英語(Ferry)の表記がある。

ふと思って、日本語と英語のカードを並べ、
「どっちがマミイのことば(日本語)で、どっちがダディのことば(英語)?」
と聞いてみた。すると、それぞれ当ててきた。でも、50%の確率で正解なのだから、まぐれだわね…。そう思ってもう一度、今度は別のカードを探して同じようにやってみた。また当たった。いやいや、と実証的な私は何度か同じことを試してみたが、結果は同じだった。

3歳になる1ヵ月前のことで、それまでも、というより、今のところ、私も夫も文字はまったく教えていない。音に関しては英語と日本語を区別できていたが、文字を見て別々の言語と分かるようになっているとは。本の読み聞かせの効果以外にはその理由が思い当たらない。

というわけで、英語圏での日本語の読み聞かせに関する話を今回は書いてみたい。何しろ、手に入る日本語の絵本は限られている。それに、英語の本にもよい本はたくさんあるのだから、読んで聞かせない手はない。乳児用の本なら、即興で日本語に訳しながら読んであげられた。しかし、本の難易度があがるにつれ、毎回の同時翻訳が少しずつ違ってきたりして、このやり方にいささか疑問を持つようになった。リズムが大切なのに、時に気にいらない訳になる点も問題で、それなら英語の絵本に自作の日本語訳を書き込めばいいのだけれど、私は今までそれをさぼってきている。私の友人は英語の本に、日本で探した訳書の訳を手書きで入れていて、その努力に頭が下がった。

一方で、私には未だ解けない疑問がある。それは、英語ネイティブではない私が英語の絵本を読み聞かせていいものか、というもの。英語圏で書かれたバイリンガル関連の本は、おしなべてこの私の疑問を肯定している。もちろん、ネイティブの発音に越したことはないけれど、アクセントのある言葉が害を与えるわけではない。それが私の読んだ本の答えだった。

私たちの場合は、夫が英語、私が日本語のネイティブという状況なので、半分を担う私の英語にアクセントがあっても、エリックのなかで自然矯正されると思うのだが、それにしても、では、仮に私の妹夫婦のように英語苦手という日本人カップルなら、英語の本の読み聞かせは子どもにどのような影響があるのだろうか…、と興味は尽きない。

もちろん、本の読み聞かせの効果は、発音や語彙の獲得に留まらず、本を読むことへの愛着、親子の触れ合い、想像力の育成…と多岐にわたっているので、発音という面だけに絞って考えなくてもよいのだけれど、好奇心の強い私としては、昨今、ふと気付いたら上の疑問をあれこれと考えている。

ちなみに、あるときから、「本を読んであげる」と言うと私には日本語の本を、夫には英語の本を持ってくるようになったエリック。なので、ここしばらく、私の担当は日本語だけ。毎日同じ本を読むとあきるのも私だけのようで、3歳児には10冊ほどあれば十分事足りるってことにも気付き、ほっと安心している。

1 comment:

  1. いつも楽しく読ませてもらっています!
    カナダに居ない時にはバックナンバーで読めるので助かります。コードミキシングから覚えた言葉、英日混ぜた表現など詳しく書かれていて本当に参考になります。子どもは居ませんが、できれば将来の糧にしたいと思います!私の周りの日系二世にもバイリンガル度(マルチリンガル含め)も様々ですし、日本へのアタッチメントも外国的な捉え方から祖国として捉えている人など色々いるようにこうやって1人のケースを時系列にしかもリアルタイムで見れるのは本当に興味深い。バイリンガル子育てとブログ頑張って下さい。応援しています!

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