Thursday, October 8, 2009

日本語で厄介なのは①…


エリックに日本語を教える上で厄介だなあ、と思うことがある。
ひとつは一人称。

英語では、自分を指す一人称はIのみ。しかし、日本語では「ぼく」「私」「わたくし」「俺」「あたし」「わし」「おいら」…インフォーマルなのを入れると枚挙にいとまがない。恐らく、日本語に敬語が存在するように、日本文化には自分と相手の関係によって形が変わるものが多数存在するからなのだろう。

もちろん、幼児、それも男の子となると「ぼく」と教えるのが一般的だろうが、私はまだエリックに「ぼく」という言葉を教えていない。というか、教えるのにためらいがある。その理由は私自身にも明白ではないが、いろいろと考えてみるに、きっとどこかで同一のものを指しているにもかかわらず、性の違いによって言葉を変える必要のある事実がどうもひっかかるのだということに思い至った。ちなみに、私自身、フェミニストを自称するどころか、フェミニズムにはかなり懐疑的である。なので、多分、英語環境のなかに10年間浸かってきた結果、私のなかでは「誰しも、どこでも使える一人称」以外にひどく違和感を抱いているのだと思う。

とにもかくにも、エリックは今のところ、自分のことをMeと呼んでいる。「Me busy now」とか「Meたまご食べる」とか「Meあとでcoming」とか、そんな感じで使っている。使える代名詞は今のところMeのひとつだけ。トロント市保健局のガイドラインには、2歳時点で、少なくとも代名詞が3つは使える、とある。I, you, mineあたりが妥当なのだろう。ま、英語が母語ではないのだから、別に心配することはないだろうし、最近は「ダディのチェア」と所有格「の」を使い始めたことはかなりの進歩であろうと思っている。

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